歯肉炎や歯周病は歯垢がたまると歯肉に炎症が起こる現象です。
〇健康な歯肉と炎症の歯肉
健康な歯肉は、その下の骨とそっくりの形になるので、外側から見ると一本一本の歯根の形が、畑
のうねようにきれいに波打って見えます。歯と歯肉の境目の形は、そのうねの端を斜めに切ったよ
うに弧を描いています。歯肉は、歯に近い部分数ミリは骨に固定され、骨を硬くおおっています。
軟らかい粘膜部分に比べて白っぽく、ブヨブヨしたところもありません。細菌が白い固まりになっ
てたまると歯肉には炎症が起こります。炎症が生じると赤くブヨブヨになります。歯肉の腫れはま
ず、歯と歯ぐきの間に伸びた、狭い歯肉に出ます。その腫れがひどくなると、弧を描いている歯肉
の縁が膨らみ割れ始めます。
炎症が慢性化するとこのブヨブヨがゴツゴツした感じに変わります。タバコを何年も吸っている人
の歯肉はブヨブヨしていないので一見炎症がないように見えます。色もピンクではなくドス黒く変
化します。
〇歯肉の病気の種類
歯肉の病気の種類は非常に多いのですが、プラークなしには起こらない炎症と、プラークとは無関
係に起こる病気に分けて考えます。プラークに関係する歯肉炎は、プラークだけによる炎症ばかり
ではなく、内分泌系に関係するものや薬物に関係するものがあります。たとえば、抗てんかん薬の
フェニトインは服用した人の約50%に、歯肉にゴワゴワとした腫れを引き起こすとこで有名で
す。狭心症や高血圧に使われるカルシウム拮抗剤は服用者の約20%、そのほか免疫抑制剤なども
同じような歯肉の腫れを引き起こします。
妊娠初期や月経周期に伴って炎症が生じることがあります。経口避妊薬の服用も、それに類した炎
症を引き起こすことがあります。
ただし、このような歯肉の炎症は、どれもプラークなしには生じません。プラークによる炎症が起
こりやすくなったりひどくなったりするもので、丁寧なプラークコントロールができれば炎症は改
善します。
改善しない場合は、別の原因を疑うべきでしょう。もっともゴワゴワに腫れてしまったケースやブ
ヨブヨに腫れて出血しているケースでは、清掃がままなりません。このためゴワゴワの場合には歯
肉を外科的に除去する処置をすることがあります。ブヨブヨの場合には清掃方法や道具を工夫しま
す。