どこで定期検診を受けたら良いの?

〇痛いのはイヤ。待たされるのもイヤ   悪くなってから痛い思いをして、お金と時間をかけて治療するより、悪くならないように定期的に   歯科医院に通って、それで歯の健康が保てるならその方がいい。だれだってそう思います。でも、   そう思って受診したら、小さなむし歯を削れらた。よく聞く話です。   数ヶ月に一度だとしても、何も悪いところがないときに、歯医者さんに行けるでしょうか?歯を削   られたり、注射されたりするのなら、行きたくないです。痛いのはイヤ。待たされるのもイヤで   す。ほんとうに定期管理ができる歯科医院は、こういう患者さんの気持ちがちゃんとわかっている   ところです。   そういう歯科医院は、まだ極めて少数です。しかし、確実に増えています。   〇なぜ定期管理のできる歯科医院は少ないのか?   多くの歯科医は、定期管理を求める患者さんは少ない、だからしていないだけで、「定期管理を求   められればする」と言います。   これまでの医療は、治療を求められて、それに応える受け身の仕事でした。とくに保険診療では、   患者さんを診察して、それにかかる医療費の心配はいらないので、これほど楽な関係はありません   でした。医者も歯医者も、「受け身」がからだに染み着いていますから、自分から患者さんに定期   管理を勧めることができないのです。頼まれてする仕事を引き受けるのと、頼まれもしないことを   勧めるのでは、責任もむずかしさも評価も、天と地ほども違いますからね。   もうひとつの大きな問題は保険制度です。リスクのある人の歯科の定期管理は、最も合理的な治療   法だといえますが、発症前治療には十分な理解が得られていません。バイオフィルム感染症はほか   に例がないので、定期管理は「予防」とひとくくりにされてしまいます。その検査や処置の多くに   は保険が使えません。保険が使えないと、患者さんの負担が多くなります。患者さんの理解が得ら   れない現状では、歯科医にとっては「悪くなるまで待って」治す方が無難なのです。   〇定期管理のできる歯科医院の探し方   もし、歯科医が定期管理をする気になっても、それを担当してくれる人がいなければできません。   定期管理の担当はおもに歯科衛生士です。熟練した技術がなければ短時間で確実な歯のお掃除はで   きません。とくに歯周病のある人の場合は、歯ぐきに隠れた部分の清掃(歯石の除去など)が必要   ですが、この作業にはかなり熟練が必要です。知識と技術をもった歯科衛生士でないと、定期管理   は不快で成果の上がらないものになります。能力の高い歯科衛生士がいなければ定期管理はできな   いわけです。   こういう事情から、効果的で患者さんの利益になるとわかっているのに、リスクコントロールを勧   めることができない歯科医院は少なくないのです。逆に言えば、しっかりした歯科衛生士が複数い   る歯科医院は可能性アリです。実はこれが一番確実な、かかりつけ歯科医院探しのポイントでもあ   るのです。定期管理をしてくれる歯科医院を探すことは、現状では簡単ではないでしょう。   でも患者さんが求めるならそれに応えたいと考えている歯科医院はたくさんあります。患者さんの   方から声をかけて定期的な管理を求めてみてください。   〇何も悪いところがないときに歯医者さんに通う   では、必要性は理解しました。熟練した歯科衛生士がいる歯科医院も見つかりました。お金の問題   もないとします。それでも実際に定期管理に通うとなると億劫ですね。   ところがものは考えようです。品のいい60歳半ばの女性がいました。六ヶ月に一度でいいという   のに毎月毎月定期的に通って来られます。痴呆になった90歳すぎの姑さんと二人暮らし、別に近   くに住むご自分のお父さんの面倒も見ているといいます。そのお世話は一通りではありません。   けっして暇ではないのです。   リスクの高い人ではないので、「六ヶ月に一度にしましょう、ご無理をなさらずに」と申し上げま   した。すると、そのご婦人は、「ここに来るぐらいしか、自分を大事にする時間がないんですよ」   と言われます。この女性は、つかの間の安息を求め、自分を大事にするために歯の定期管理を受け   ていらっしゃったのです。