「お酒を飲むと歯ブラシがめんどくさくなっちゃうだよね!。アルコールでむし歯菌も死ぬはずだからそのままねちゃだめなの? 寝る前に牛乳を飲んで就寝するのはどうなの?
歯みがきしないで寝たらまずいですか?」こんな質問時々耳にします。
「夜のリラックスタイム・・・。寝酒が習慣。アルコールの殺菌効果で、む
し歯菌もイチコロだ。と信じているが、最近歯が痛い。これはむし歯か?」
結論からいいますと、残念ながらお酒でむし歯菌を殺菌することはできません。
このかたは寝酒をたしなまれているようですが、せいぜいブランデーのアルコール度数は
40度から50度くらい。この程度では、殺菌効果は期待できません。引火するほどアルコー
ル度数の高いお酒をストレートで飲んだとしても、プラークを除去することはできないでしょ
う。それに、アルコール度数が極端に高いお酒を毎晩ストレートで飲んでいたら、喉や胃腸の
粘膜を傷つけてしまいますよ。プラークは、排水溝のなかのヌメヌメとした汚れのようなも
の。そう簡単には取り除けません。放っておくとバイオフィルムという粘着力の強い膜を作り
出し、そのなかでさらに細菌が繁殖します。このバイオフィルムの内側には、アルコールも浸
透しません。そして、その排泄物である酸が歯を溶かし、むし歯を作ってしまうのです。
おつまみを食べていないから大丈夫?そんなことはありません。お酒には糖分が含まれている
ものも多いのです。むし歯菌は糖をエサにして歯を溶かす酸を作り出しますから、アルコール
の殺菌効果を期待して歯を磨かないで寝てしまうのは、むし歯菌にエサを与えて快適な環境を
提供してやっているようなものです。
また就寝前の牛乳も虫歯をつくります。牛乳250ミリ中の糖質量は練乳スプーン1杯ていど
あります。練乳をなめて就寝してしまう状態と同様です。
寝ている間は、細菌を洗い流してくれる唾液がほとんど出ないので、お口のなかで細菌が繁殖
しやすくなります、しかもお酒を飲んで寝ると体が脱水傾向になり唾液はより出にくくなりま
す。また、ワイン、梅酒、チューハイなど酸性のお酒であれば、酸蝕歯(酸性の飲食物によっ
て歯が溶ける)も心配です。
プラークを取り除くには、歯ブラシでていねいにかき出すのが一番効果的です。歯ブラシとフ
ロスを使って、お口のなかのむし歯菌を追い出しましょう。
お酒を飲んだ後は歯みがきが面倒になってしまうかたも多いかもしれませんが、健康なお口を
保つため、寝る前にプラークをしっかり除去することを習慣づけましょう。
プラークはむし歯、歯周病、口臭の元凶。口臭を防いで、朝からさわやかな笑顔で。職場でも
周囲の視線が変わりますよ。
「
残念ながら、お酒でむし歯菌は死にません。素敵な笑顔をキープするには、就寝前の
ていねいなブラッシングが欠かせないのです。飲んだあとは面倒になってしまうかもしれませ
んが、ぜひとも習慣にしてください。」
くれぐれも就寝前の歯磨きは欠かさず、歯みがき後にお口にしてよいにはキシリトール系
のお菓子だけです。