⑧妊婦さん及び産後の方の歯の予防方法
妊婦さんには、特有の歯肉炎を起こす例がかなりあります。これを妊娠性歯肉炎と 呼んでいます。これは、妊娠2~3ヶ月から始まり、8ヶ月くらいまで悪化し、妊 娠9ヶ月くらいになると回復します。基本的な症状として、「歯肉が赤く腫れて痛 む」「口臭がひどくなる」「歯を支えている骨が溶けて、歯がグラグラする」と いった状態になることがあります。妊娠性歯肉炎は、女性ホルモンのひとつである プロゲステロンというホルモンの増加によって発症すると言われています。 妊娠初期のつわりのひどい時期に、ねらったように歯肉の痛みがおそってきます。 しかも妊娠初期は、めったなことでは薬も飲めません。歯の調子は悪い、しかし栄 養はとらなければなりません。痛みを伴うことになると、薬が使えないだけに一大 事です。妊娠性歯肉炎は妊娠末期になれば自然におさまりますが、その間に、歯を 支えている組織の破壊が進んでしまいます。 ひどい時には、歯を支えている骨が溶けてしまい、歯がグラグラしてしまうことが あります。 特に妊娠する以前から歯周病にかかっている人は、妊娠性歯肉炎を発症することに より、もともとの歯周病の進行を加速させてしまうケースもあるわけです。 赤ちゃんを産むたびに、歯がダメになっていくことだけは避けたいですよね。この ようなトラブルを防ぐためには、妊娠前から定期的に検診及びクリーニングを行う ことをおすすめします。又、お家でのブラッシング等も含めたセルフケアを怠らな いことが必要です。又、生まれてくる赤ちゃんに口の中の悪い細菌を感染させない ためにも、それまで以上にケアを心がけましょう。 繰り返しますが、妊娠初期は可能な歯科治療には限りがあります。使える薬も限り があります。 子どものせいで歯を失ったなどと嘆かなくてもすむように、妊娠前から定期的に予 防処置を受ける習慣をつけておくことが大切です。 ☆(又)生まれた赤ちゃんをむし歯から守ることも母親にとっては重要です。むし歯菌 は生後1歳6ヶ月から2歳6ヶ月の間に母から子へと感染してしまいます。 生後早い時期にむし歯菌がお子さんに感染すると、そのお子さんは「生涯むし歯になり やすいお子さん」として成長してしまいます。又、むし歯菌の感染時期が遅ければ遅 いほど、そのお子さんは「生涯むし歯になりにくいお子さん」として成長していく事 実は北欧では常識です。
そのため、スウェーデンやフィンランドの女性は妊娠していることがわかると、産
婦人科の次にすぐに歯科を受診し、ご自身と生まれてくるお子さんのために定期ク
リーニングを受ける文化があります。
出産にそなえて、生まれてくるお子さんのむし歯菌の感染率を下げるために、歯科を
受診しお口の中をきれいにすることは、北欧の女性にとっては当たり前のことなん
です。
つまり、お子さんの予防というのは、生まれる前「マイナス1歳から」始めるのが
正しいと思います。
もちろん出産後も定期クリーニングを親子で受けて予防していくことは当然です。
ぜひお子さんの為にも継続してご家庭で定期検診を受診して下さい。
又、定期検診と同時にお母さんに計画的に実行していただきたいことがあります。
それは、キシリトールの摂取なんです。なぜかと申し上げますと、キシリトールを
計画的に食べていると、お口の中のむし歯菌(ミュータンス菌)が減少し、お口の中
がきれいになっていくのです。
キシリトールの特徴は砂糖の代わりに使われている甘味料として、知られています
が、お口の中のむし歯菌(ミュータンス菌)を減少させて、むし歯になりにくい環境を
つくる効能があることはあまり知られていません。
もちろん酸も分泌されませんし、キシリトールを継続的に食べていると歯垢もサラ
サラになります。つまり、歯ブラシで簡単に歯垢も落としやすくなります。おすす
めは、キシリトールガムです。ガムが一番信頼性が高く、唾液の分泌量も増加して
更に予防効果が高まります。
ただし、キシリトール含有量100%のものを購入して下さい。
含有量が低い物だと効能が得られにくいので、よくパッケージを見るか、店員さん
にたずねると良いでしょう。
歯科医院では基本的にキシリトール含有量100%の商品がほとんどなので、歯科医
院で購入することもおすすめです。
又、効果的な食べ方もお話ししましょう。
いくらキシリトールといってもお口の中の汚れがひどい場合、効能が得られにくい
ので、歯ブラシ直後がおすすめです。
特に就寝前に食べることがおすすめです。又、長期間継続して摂取することが大切
で、3ヶ月は最低でも続けて下さい。基本的には、1日5g~10g以上食べるこ
と、含有量100%のガムで換算すると6粒以上を1日3回、朝・昼・夜に分けて食
べると良いでしょう。
キシリトールを摂取するポイントは歯ブラシした後の「夜寝る前」及び「ダラダラ
食べる」がポイントです。又、ガム以外にもラムネやグミもございますが、どこま
で効能があるかはまだはっきりせず、調査中です。
まとめると、100%のキシリトールガムを1日3回朝・昼・夜に分散させて、合計
6粒食べましょう。「ダラダラ食い」大歓迎で、寝る前は更に効果的です。ぜひ日
常に取り入れて下さい。





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