歯茎の腫れは塩でもめば治る?──その常識、実は危険かも
「塩でもむといい」って聞いたことありませんか?
このタイトルのブログは実は5年前にも投稿いたしました。かなり反響がありましたので リメイクして再投稿いたしました。歯茎が腫れたり出血したとき、昔から「塩を直接歯茎につけて、もみこむと良い」と言われてきました。
祖父母の世代から伝わる家庭療法として耳にしたことがある方もいるでしょう。
確かに「塩=殺菌」「もむ=血行を良くする」といったイメージがあり、なんとなく効果がありそうに聞こえます。
しかし、本当にそれで治るのでしょうか?
結論はシンプルです。
塩でもむことで歯茎の腫れは治りません。それどころか、逆効果になる危険すらあります。
塩もみの仕組みと一時的な効果
塩を歯茎にすり込むと、ピリッとした刺激があります。
この刺激で血流がよくなったように感じたり、浸透圧の作用で一時的に腫れがひいたように見えることがあります。
また「スッキリした」「出血が止まった」と感じる方もいるかもしれません。
そのため、「塩でもむと効く」という民間療法が長年受け継がれてきたのです。
塩もみの本当のリスク
歯茎が腫れているときは、すでに炎症が起きている状態です。
その部分をさらに強くこするとどうなるでしょうか?
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炎症が悪化する
傷ついた歯茎に塩をすり込むと、粘膜がさらにダメージを受け、炎症が広がる恐れがあります。 -
細菌が奥に入り込む
歯茎を押したりこすったりすることで、細菌が組織の深くに入り込み、かえって膿を作る原因になることがあります。 -
痛みや出血が増える
一時的に血流がよくなるように見えても、それは「出血が増えている」だけ。治癒につながるものではありません。
つまり、塩でもむ行為は「炎症の火に油を注ぐ」ようなものなのです。
歯茎の腫れの本当の原因
では、歯茎が腫れるのはなぜでしょうか。
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親知らずの炎症:歯ブラシが届かず細菌が繁殖しやすいため、腫れや痛みが繰り返されます。
これらはいずれも塩をもんだ程度で解決できるものではありません。
根本的な原因を取り除くには、歯科医院での診断と適切な治療が必要なのです。
「もめば治る」は危険な先延ばし
一番怖いのは、「とりあえず塩でもんで様子を見よう」と考えてしまうことです。
初期の歯周病は、歯科でクリーニングを受ければ改善できることが多いですが、放置すると骨が溶け、歯を失うリスクが高まります。
根の病気も、早めに治療すれば歯を残せる可能性があるのに、悪化してからでは抜歯になることも少なくありません。
「もむ」ことで安心したつもりになり、歯医者に行くのが遅れてしまう──これこそが最も大きなリスクです。
正しい対処法は?
もし歯茎が腫れたら、次のように対応してください。
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無理にさわらない
腫れている部分を押したりこすったりすると悪化します。 -
口の中を清潔に保つ
やさしく歯を磨き、うがいで汚れを洗い流す程度にとどめましょう。 -
冷やすと痛みが和らぐ場合も
頬の外側から冷たいタオルを当てると、腫れや痛みが少し楽になることがあります。 -
早めに歯科医院へ
これが最も大切です。腫れの原因を正しく調べ、適切な治療を受けることが唯一の解決策です。
予防こそ最大の治療
歯茎の腫れは「体からのSOS」です。
一度腫れたということは、歯周病や虫歯のリスクがすでに高まっているサインでもあります。
そこで大切なのが予防歯科です。
これらを続けることで、「腫れない歯茎」をつくることができます。
まとめ──塩でもんでも治らない!
塩でもむと「効いた気」がするかもしれません。
でも、それは一瞬の錯覚にすぎず、実際には炎症を悪化させ、歯を失うリスクを高めてしまいます。
歯茎の腫れを感じたら、塩に頼らず、歯科に頼る。
これがあなたの歯を守る最短の道です。
そして本当のゴールは、「腫れが起きない口内環境」をつくること。
塩でもむ時代から、予防歯科で守る時代へ──今こそ切り替えてみませんか?