80才になってもリンゴを丸かじりする方法その4 歯周病について

以前のぶろぐで歯の平均寿命は58年(萌出から抜け落ちるまで)というお話をしました。実際、歯を失う原因の割合は約56%が歯周病で、虫歯は30%です。 歯周病は実に虫歯の2倍にもなるのですが、これには 理由があります。 虫歯が発生すると「しみる」「ズキズキ痛い」といったサインが出現するケースが案外少ないのです。   🍓歯周病は知らぬ間に進む しかし歯周病はほとんど症状が潜伏したまま進行し、ようやく自覚症状が出現した時点では、中等度から末期の状態であることがほとんどです。 その為この時点で歯科医院を受診すると、第一章の冒頭での「この歯は抜かずに治りませんか?」という会話が発生し、手遅れとなる場合が目立ちます。したがって歯周病を罹患しないことが、歯の寿命を長くするための最短コースであると考えています。   🍓歯周病の進行の仕方 歯周病に表現すると「歯を支えている骨が溶ける病気」といえます。 骨が溶けて歯が抜け落ちるまでの流れをみてみましょう。お口のなかを歯ブラシで磨いたとしても、取り除けるバイ菌は60%であり、実に40%が歯に磨き残したままです。この40%の磨き残しが、歯のつけ根に付着して石のように硬く固まった物体を歯石と呼びます。この歯石から分泌される毒素によって、歯を支えている骨が溶けてしまうのです。実際骨が溶けて行く過程は次のようになります。 🍓歯周病は元に戻らない いかがでしょうか?歯周病の最も怖い点は「一度溶けてしまった骨は二度と再生されることはない」ということです。 つまり歯科医が必死に努力し、治療を行ったとしても、歯周病の進行を止めるのが精一杯で、本当の意味での完全治癒は現在の歯科医療では 不可能です。 🍓早期発見早期治療が大切 そのため歯周病は、早期の発見、早期の対応が絶対条件になるのです。 それでは進行してしまった歯周病はどうしたらよいのでしょうか? 基本的な考え方として、進行の原因となる歯石をすべて取り除くことです。 単なる歯周炎であれば、家庭でのブラッシングと、歯のつけ根や歯肉周囲のみの歯石取りで十分なのですが、軽度から中等度の歯周病では、歯肉のもっと深い部分、つまり歯周ポケット内に付着した歯石を取り除かなければ、進行は止まりません。 🍓歯周ポケットとは? 歯周病が進行し、歯を支えている骨が仮に5mm溶けたとすると、歯肉と歯の根の間に5mm相当の隙間ができてしまいます。これを歯周ポケットと呼ぶのですが、この5mmの隙間に歯石やバイ菌が堆積されるため、歯周ポケット内の歯石取りはとても重要なのです。 しかしほとんどの患者さんは歯のつけ根周囲のごく浅い部分の歯石取りしか経験がないため、効果的に歯周病の進行を止めることができないのが現状です。 歯周病が気になる方は、ぜひ歯科医に、歯周ポケット内側の歯石取りが必要かどうか、一度聞いてみてください。 🍓歯周病が進んでしまったら では歯周病が中等度から重度の場合はどうなるのでしょうか?抜歯にならずに、治療によって歯を残せるケースについてお話ししましょう。 まずすべての症例において、基本は家庭での歯磨きです。細かいテクニックより、できるだけゆっくり時間をかけて(できたら10分くらい)、やわらかい歯を使用して行ってください。歯肉の血行が良くなることが目標です。そうすると歯肉が引き締まり、歯周ポケットが相対的に浅くなります。そうして、歯周ポケット内の歯石取りを並行して行います。 しかし歯周病が中等度や重度のケースでは、歯周ポケットが深すぎて、歯石を完全に取り除くことが大変困難です。また、深い歯周ポケットは、歯周病の絶好の棲みかとなり、進行が止まらないケースが多いのです。 爪が長く伸びてしまうと、爪の内部に汚れが溜まりやすいですよね。しかし爪を切ってしまえば、清潔に保ちやすくなります。歯周ポケットは伸びた爪とまったく同じで、深いものに対して切除を行うことが進行を止める手段となります。状況によっては、歯周病専門医に依頼する場合もあるでしょう。 🍓重度歯周病への対応 さらに進行した歯周病は、歯を支える骨の絶対量が不足するため、単独では噛む力に耐えられなくなってしまいます。そのような場合、周囲の歯とかぶせ物で連結し、一人でバラバラに戦うのではなく、みんなでスクラムを組んで戦う戦術をとるのと同様です。 またこれだけの治療を行うとなると、2年近く時間を必要とするケースもあります。 しかし、何度もくり返しますがこのような治療は完全治癒とはいえず、言葉は悪いのですが延命治療と捉えた方が良いでしょう。歯周病は我々歯科医にとっても難敵であります。なぜなら歯周病は常在菌といって、人間が生きている限り、お口の中に常に生息しているからです。そのため顕微鏡を導入しバイ菌を調べ、時には抗生剤を使ったり外科的な治療を行ったり、かぶせ物を利用したりと、様々な工夫を実行しなければ、太刀打ちできないことをご理解いただけたらと思います。 歯周病治療→①噛んだ時に歯に伝わる力のコントロール      ➁バイ菌のコントロールの確立を目指します。 http://www.cyber-digital.jp/dental-flash/