インプラント
インプラント治療がなぜ他の歯の寿命を助けるのか?
人間は一度歯を失ってしまったら。二度と歯を取り戻すことはできません。しかしインプラント治
療に関しては、「一度失った歯を入れつつ、他の歯の寿命を延ばすことができる治療である」とい
えるでしょう。しかし、現在インプラントに関するマスコミの報道や情報発信は常に負のものばか
りが強調されている傾向があります。きちんとした診査診断のもとで、臨床経験を積んできた歯科
医が施術するならば、マスコミで報道されているようなことは、まず起こることはありません。
🍖インプラント治療の素晴らしさ
それでは何故、インプラント治療が素晴らしい治療方方法なのかをお話ししましょう。
まずインプラントとは、失った歯の機能を代用させる目的で、チタンのスクリューを顎骨に埋め込
み、骨と結合させ、歯の土台を作ります。そしてその土台の上にほぼ天然の歯と同様に咀嚼できる
よう上部の歯冠をつくります。つまり、歯の無いところに歯を再生できると思っていただいて良い
でしょう。
しかしメリットだけではないのは事実です。インプラントは保険適用ではありませんし、治療が終
了するまで平均6ヶ月くらい時間を必要とします。また、インプラント治療そのものが「痛そうで
怖い」という声を耳にします。痛みの感じ方は個人差があり、インプラントの必要本数も一律では
ないため、痛みの程度をご説明するのは難しいですが、通常の抜歯と同程度といえます。しかし、
インプラント治療には、このようなネガティブ要素を大きく上回るメリットが沢山あります。
🍖もし歯を失ったら
矯正の章でもお話ししましたが、お口の中でも重要なポイント、それは噛む力を分散させるバラン
スです。例えば、左側の奥歯を失ったとします。そうすると人間は本能的に、歯の本数が多くそろ
っている右側ばかりで噛もうとしてしまいます。噛む力を60㎏と仮定すると、常に右側ばかりに60
㎏の負担がかかってしまい、次第に負荷のかかる右側の奥歯からグラグラして、抜け落ちてしまう
のです。
つまり歯を失った部位を放置することは、周囲の歯の寿命をかなり短くしてしまう結果となるので

す。
🍖部分入れ歯とインプラント
それでは次に、歯を失った部位に「部分入れ歯」を装着した場合はどうでしょう。
「部分入れ歯」は天然の歯の噛み心地に比べたら勝ることはなく、入れ歯の入っていない反対側で
噛んでしまう結果となります。前述の抜けた歯の状態のまま放置しているよりはまだ良いですが、
長い目で見ると結果に大差はありません。また、「部分入れ歯」は入れ歯は本体を支えるために、
天然の歯にクラスプという金具(17項図①)をひっかけます。これもこのモアしい状況ではなく、
噛んだ時に入れ歯にかかった負荷が、梃子の原理で金具から天然の歯に伝わり、天然の歯をグラグ
ラさせて、寿命を縮めてしまうことが多いのです。

ただでさえ不快感の大きい入れ歯です。喜んでお使いになられている患者さんはいらっしゃらない
はずです。天然の歯に比べたら、咀嚼の効率は30%に落ちてしまうのですから、「噛めない、食事
がおいしくない、口の中が気持ち悪い」という声が圧倒的に多いのも、うなずけます。その結果入
れ歯を使わなくなり、そのまま放置するといった悪循環に陥ることも少なくはありません。
インプラントはこのようおな入れ歯のストレスからも解放してくれると同時に、若い頃と同じ食材
を味わえる幸せをもたらし、ライフスタイルをリセットすることができる治療といえるのです。
🍖ブリッジとインプラント
そしてもう一つ、歯を失った部分を補う治療で、もっともポピュラーな方法に「ブリッジ」とうい
う被せ物を入れる方法があります。
ブリッジの治療方法は、まず歯の無い部分の前後、もしくは左右両隣の健康な歯を削ってかぶせて
いきます。(17項図②)この時、銀歯をかぶせるスペースを確保するために、1.5㎜~2.00㎜位健康
な歯を削るのですが、際歯の外装であるエナメル質をすべて削除してしまいます。
このエナメル質は、人間の体の中で最も硬い組織で(骨より硬い)、歯を守るためのバリアであ
り、むし歯になりにくい大切な組織です。このエナメル質が無くなり、第2層目である象牙質の上
に、ブリッジがかぶさるという形になります。この象牙質は比較的やわらかい組織で、虫歯になり
やすく進行も速いので、歯にブリッジがかぶせられた後、虫歯の再発が多いのも事実です。
7年半で50%のかぶせ物が虫歯の再発を起こすというデータもあるくらいです。
それならば、歯にピッタリ密着したブリッジを作れば、牛場の再発を防げるのでは?と思われる方
も多いでしょう。
実は、その通りなのです。削った歯とかぶせ物に全く隙間がなければ、虫歯菌は侵入できず、虫歯
の再発は防げます。

しかし歯科医が肉眼で確認できるレべルでは、歯とブリッジがぴったり密着しているように見えて
も、ミクロのレベルでは、虫歯菌の侵入を防ぐことは困難です。そのためブリッジと歯の密着度を
高めるため、ブリッジの材質に適度な柔らかさがあり適合性の高い金(ゴールド)を使うケースも
あります。また、近年金属に対するアレルギーをお持ちの患者さんも多く、身体にやさしいゴール
ドはおすすめですが、審美的に目立ってしまうため、かぶせ物の内面をゴールドでつくり、外面を
白い材質で加工し、見た目は天然の歯とほとんど変わらないかぶせ物も開発されたいます。
🍖だからインプラントは素晴らしい
しかし、歯の寿命を考えれば「歯を削らない」という選択が最良であることには変わりありませ
ん。歯の無い部分のみにインプラントを植立し、その前後(左右)の歯はまったく削らなければ、
一番理想的であるのは明らかです。
つまりインプラント治療を選択することによって、周囲の歯にダメージを与えずに済むのです。ま
た、咀嚼するバランスも左右均等に保ちやすくするばかりか、他の歯に対する負担軽減のなるた
め、第一章でお話しした「噛んだ時に伝わるコントロール」の役目を十分果たしてくれる助っ人と
なってくれます。
この章ではインプラントについてのお話しをさせていただきましたが、決して部分入れ歯やブリッ
ジを、頭ごなしに否定しているわけではありません。
今後歯科治療が必要になった時、抜けた歯の補い方を知っていただきたいと思っております。もし
いくつかの治療を選択できる余地があるとしたら、各人の優先される項目を決めて、治療に対する
プランを立てると良いでしょう。
インプラント治療→噛んだ時に歯に伝わる力のコントロールの確立を目指します。
80才になってもリンゴを丸かじりする方法その4に続く
http://www.cyber-digital.jp/dental-flash/