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軽度歯周病とは

軽度歯周病とは・・・ 歯と歯の間や歯と歯肉の境目にプラークが付いていると、歯肉のみに炎症症状が出てきます。 まず歯肉の色が赤くなり腫れてきます。歯磨きの時に歯肉から出血してきます。しかし痛みは伴わ ないので、気付きにくいです。 歯を支えている骨は正常で溶けていません。 歯肉のみに止まらず、歯を支えている骨にまで炎症がある状態です。 歯肉の炎症は歯肉炎と同じで、腫れて赤くなり歯磨きのときに出血してきます。そして骨が若干溶 けてきます。骨が溶けることによって歯と歯肉の境目の溝(歯周ポケット)の深さが深くなってき ます。 この溝にプラークが入っていき、歯根に歯石(プラークが固まってできた石)が付きます。そうな ると、歯周ポケットは細菌のすみかになっていきます。しかし痛みを伴わないので気付きにくいで す。 軽度歯周病の治療 ≫治療の概要 軽度の場合は、歯肉の外に見えている部分のプラークコントロールだけで治療が可能になります。 ≫TBI(Teeth Brushing Instruction 歯磨き指導) 歯周病は、歯周病原菌が一定以上の量になると引き起こされる病気なので、しっかりとした患者様 による歯磨きは、もっとも重要な治療の一つになります。 病原菌が生きて行くのに必要なすみかと栄養、いわゆるプラークを歯磨きによって取り除いてしま えば、病原菌も死んでしまいます。また、治療によっていなくなった病原菌も歯磨きを怠ればまた 集まって来て病気を引き起こします。 したがって、ちゃんとした歯磨きをマスターすることは、歯周病の治療、さらには予防にとっても 大切です。 歯肉縁上歯石除去 歯石は、プラークが石灰化し、歯の表面上に付着したものです。非常にざらざらしているので、プ ラークを常に停滞させてしまいます。患者様ご自身のでは、除去することはできませんので、歯科 衛生士によって除去します。  

もう1度歯周病(歯槽膿漏)を理解しよう その2

「歯周病」とは、「歯肉炎」と「歯槽膿漏(しそうのうろう)」の総称です。 歯周病は生活習慣病ともいわれています。喫煙、間食が多い、口腔内の清掃不良、ストレスなど悪 い生活習慣や、老化、免疫力低下、糖尿病も歯周病の悪化原因です。喫煙に関しては1日の喫煙本数 が増えると歯周病のリスクも増えます。 歯周病は肺炎、動脈疾患、低体重児出産、感染性心内膜炎を引き起こす可能性があり、歯周病は全 身の健康と深い関わりがある病気とされています。 歯周病を簡単に表現するならば『歯を支えてい る骨がとける病気』といえます。骨が溶けて歯 が抜け落ちるまでの流れをみてみましょう。 お口の中を歯ブラシでみがいたとしても、取り 除けるバイ菌は60%であり、実に40%は歯にみ がき残したままです。 歯肉炎 磨き残しのバイ菌が歯のつけ根に停滞し、やがて硬くなると歯石となり、歯ブラシでは取り除けな くなります。 軽度歯周病 長期間にわたり歯石を付着させたままいると、歯石から分泌される毒素によって、歯を支えている 骨が上部から溶けて行きます。 中度歯周病 このような状況では、さほど自覚症状はみられませんが、歯周病の進行度としてはかなり進んでし まっています。 重度歯周病 ここまでくると「咬むと痛い」「腫れた」「歯がグラグラする」という症状が現れますが、すでに 末期症状であるといえます。 末期 そして、ついには抜け落ちてしまいます。 したがって骨が溶ける現象をどこかで食い止める必要があるのです。一度溶けた骨は二度と復活す ることなく、薬でも治りません。      

もう1度歯周病(歯槽膿漏)を理解しよう。

歯を失う原因の第1位を占めるのは、なんと、歯槽膿漏だといわれています。 歯周病のうち、症状のやや軽い「歯肉炎」を放置しておくと症状が悪化して「歯槽膿漏」へと進ん で行きます。しかもあまり痛みの自覚症状がないため、気付かぬうちに歯槽膿漏へ進行してしまう ので、とても厄介な病気です。歯周病と歯槽膿漏は同じ言葉だと理解してください。 10代でもすでに約6割近くの人が、成人となると8割前後の人が歯周病にかかっているといわれてい ます。つまり大人のほとんどは、程度の差こそあれ歯周病にかかっているといわれています。歯周 病予防は若いうちからのケアが大切なのです。 歯周病から歯槽膿漏に進むと、炎症は歯茎の周りだけでなく、歯と歯茎の隙間の深くまで進み、歯 を支えている骨(歯槽骨)の周りにまで達しています。 重度に進行すると歯槽骨がほとんど溶け、歯がグラグラと動くようになり、やがて抜け落ちてしま います。 むし歯は歯が溶ける病気ですが、歯周病は骨が溶ける病気なのです。歯槽膿漏と呼ばれるのは「歯 槽(歯茎)から膿が漏れる」といった症状を表しているからで、歯槽膿漏になると、歯茎から血が 出るようになる以外にも膿が出たり、お口の臭いも気になるようになってきます。 最初は歯肉炎から始まり、軽度歯周病、中等度歯周病、重度歯周病と進行していきます。 それぞれのステージについてはまた次回のブログで、ご説明させていただきます。4

むし歯菌の親子感染の恐ろしとは?

近年、むし歯は「感染症」という病気の一種であることが分かってきました。「感染症」とは、細 菌、ウイルスなどの病原体が体内に侵入し、増殖することにより引き起こされる病気を言います。 むし歯は、病原体であるミュータンス菌が、ある日どこからかお口の中に侵入して棲みつくことに より発症します。赤ちゃんは無菌的な状態で生まれてくるので、生まれたばかりの赤ちゃんのお口 の中を調べてみてもミュータンス菌は一つも存在しません。ミュータンス菌がいなければむし歯に ならないはずなのに、どうしてむし歯になってしまうのでしょうか? それは、ミュータンス菌は唾液によって人から人へと伝播(でんぱ)していくからです。特にお母 さんから子どもへの感染(母子感染)が一番多いようで、食事の時に同じお箸やスプーンをお母さ んと子どもが一緒に使うことで、子どもへ伝播することが分かっています。ミュータンス菌は、硬 い組織(歯のエナメル質)にしか定着できないという特徴を持っているので、歯の生えた1歳半?2 歳半(この時期は「感染の窓」と呼ばれています)に感染することも分かっています。 ミュータンス菌が多くむし歯の多いお母さんは、大切な子どもの歯を守るためにも、歯医者さんで むし歯治療をしたり、歯のクリーニングをするなど自分のお口の中を、むし歯になりにくい環境に整 え、健康管理や生活習慣に十分気を付けることがとても大切です。ミュータンス菌は、赤ちゃんに 歯が生えてくるのを待っているのかも知れません。 むし歯予防のプログラムを実施し、ミュータンス菌を減らしたお母さんからは、子どもへの感染が 低下することも分かっているので、お母さんのお口の状態が子どもに影響を与えることは明らかで す。子どもたちがむし歯になるのは、実はお母さんのせい?だなんて考えたら、日々の歯みがきも 疎かにできませんよね。むし歯菌となるミュータンス菌は歯垢(プラーク)中に住み着いています ので、日々の歯みがきでしっかりと歯垢を取り除くことが重要です。

スタッフのみんなと食事会をしました。

横浜歯科クリニックのスタッフ一同と栄区内のしゃぶしゃぶ屋さんで、食事会をいたしました。以前よりこのお店に食事に行きたいと、スタッフより要望がありましたが、なかなか時間の確保が 上手くできずにようやく実現いたしました。プロが作る鍋料理や炉端焼きなど、普段家庭では なかなか食べることのできない料理のオンパレードで、スタッフ一同大満足です。また果汁 100%のオレンジジュース(搾りたて)に全員感動です。スタッフあっての横浜歯科クリニック です。これからもスタッフの活躍に期待したいものです。

当院での勉強会の風景です。(その1)

2月上旬に横浜歯科クリニックでは、器具の滅菌や院内感染対策について勉強会を行いました。この 日は休診日にもかかわらず、スタッフは 全員参加して熱心に学ぶ姿に関心です。 勉強の内容は、器具の滅菌を高度に行う にはどのようにすべきか? 感染症対策等です。日々診療を行う上で 患者様やスタッフの安全性をより高めていく うえで、何が必要かを再認識できる貴重な 1日でした。これからもよりレベルの高い、 そしてより安全な医療体制を目指して、院長、スタッフ一同精進してまいります。

知らないと損する歯肉炎のメカニズム

歯ぐきの色が変わったり、触れると弾力がなくブヨブヨして腫れていたり、歯みがきの時に血が出 るような症状(歯ぐきからの出血)が一つでもある人は、すでに「歯肉炎」を起こしているかも知 れません。 その歯肉炎が起こるのは、歯に付着した歯垢がはじまりです。ブラッシング不足のためや取り除き にくい部分に歯垢が溜まってくると、その歯垢へのカルシウム沈着により歯と歯茎の隙間で歯石に なったりします。 この歯垢と歯石の中には細菌がいっぱい入っています。細菌から出てきた毒素によって歯茎が冒さ れ、炎症が起きて赤く腫れ上がっていまうのが歯肉炎のことです。こうなってしまっては、美味し く食事もとれず、明るく笑うこともできなくなってしまいますね。 健康な歯茎を歯肉炎から守るのに、毎日の丁寧なブラッシングが欠かせません。 また歯垢を残さないように、歯と歯との間や歯と歯茎の境目の磨きにくいところはデンタルフロス などを使うことが大切です。また歯茎の病気は、栄養の偏りやストレスなどにより、身体の抵抗力 が弱まるとなりやすくなるので、栄養のバランスを考え、身体の抵抗力をつけて、健康な身体を保 つことも大切です。

むし歯菌について知っておこう

お口の中には、約500種類の細菌が共生しています。唾液1mlの中には1億個以上という、想像もつ かない数になっています。 これらの口腔常在菌は、一定した存在比率を保った口腔内細菌叢(口腔内フローラ)を形成してい ますが、その中には私達の健康に役立つ善玉菌もいれば、むし歯や歯周病を引き起こす悪玉菌もい ます。よく知られているのが、むし歯の原因菌の代表であるミュータンス菌(Mutans Streptococcus系)です。 ミュータンス菌は、歯の表面に付着して初めて増殖できるという特性があり、生まれたばかりの赤 ちゃんのお口の中にはまだミュータンス菌はいません。それは歯が生えていないのでミュータンス 菌が付着できないからです。 乳歯が生える生後半年頃から、親が噛み砕いた食事を与えることなどによってミュータンス菌が子 供に移ると、歯に付着して増殖します。つまり、むし歯の発生は感染症による物です。 ミュータンス菌は0.5?10μmの球状の菌体が横につながった連鎖球菌で、以下のような特徴があり ます。 1.歯面への強い付着能 菌体表層に存在するタンパク抗原(PAc)で歯面に付着する。グルコシルトランスフェラーゼ (GTF)酵素でショ糖からの粘着性の高いグルカンを産生する。 2.強い酸産生能 ショ糖、ブドウ糖、果糖から乳酸を産生する。また、環境にショ糖など豊富な場合は菌体内に多糖 体として貯蔵し、環境に糖がない場合は貯蔵しておいた多糖体から酸を産生し続ける。 3.歯面でのバイオフィルム形成能 産生したグルカンによって、口腔内の菌体を付着、増殖させデンタルプラーク(バイオフィルム) を形成する。 特に、むし歯原因菌の病原性は、食物中の糖分から非水溶性グルカンという物質を産生するところ にあります。非水溶性グルカンは粘着性が高く、きわめて固体に付着しやすい多糖体で、水に溶け ません。むし歯原因菌の存在率が高いバイオフィルムでは、それらが産生した酸が唾液などの外部 刺激によって拡散することなく、その濃度が上昇し、歯のエナメル質を溶かしてむし歯を引き起こ します。 また、口腔内のむし歯原因菌の数量とむし歯のなりやすさ(むし歯リスク)には関係があり、唾液 1mLあたりの菌数が103?106個の範囲ではむし歯のリスクの低い環境といえますが、106個を超え る場合ではむし歯のリスクの高い口腔環境であると言えます。 その他、乳酸桿菌(ラクトバチルス菌Lactobacillus)は、酸を産生する性質をもつものの、感染の 第1歩である歯面への定着性が低いため、平滑歯面におけるむし歯原因菌とは考えられていません。 ただし、エナメル質や象牙質のむし歯部分から高頻度で検出されているため、むし歯の拡大に関与 していると考えられています。  

知らないと損する歯垢 歯石の恐ろしさとは?

歯垢(しこう) 歯みがきをさぼったときに歯の表面がネバネバします。 それはむし歯の最も重要な原因である歯垢の形成によるものです。 歯垢は近頃、「プラーク」や「バイオフィルム」と呼ばれることもあります。その正体はむし歯菌 や歯周病菌の塊で、1gの歯垢の中には約1000億個以上の菌がいるといわれています。 約300年前の1683年には、オランダ人のアントニー・ヴァン・リーウェンホークによって、 歯垢の中には丸い形の菌、細長い形の菌、ラセン状の菌がいると報告されています。 歯垢の約75%が菌、そして約20%は菌が作り出した粘膜物質(グルカンやフルクタンという多糖 類)で、これが歯表面のネバネバの原因となります。この粘膜物質は菌にとってとても重要で、外 界からの影響を受けなくするバリアーの役目をします。 このバリアーができてしまうからこそ、唾液が浸入できなくなり、菌の作った酸が歯垢の中に溜ま り、歯の表面のエナメル質を溶かし、むし歯が発生することがあります。 歯垢を除去することは、むし歯予防の絶対条件なのです。 また、歯垢の中に含まれている一部の菌種が、心臓や脳などの疾病の起きた病変部に発見されてい ます。このことから、現在は歯垢とこれらの病気との因果関係を解明すべく、多くの研究が進めら れています。じつは歯垢は、お口の中だけの問題ではないようです。 歯石 「歯石」というと、「歯の石」と書くぐらいですから硬いものを想像すると思いますが、どうして できるのでしょうか? 身体全体を考えると、腎臓や胆嚢などの臓器にも「石」ができます。腎臓結石と大部分はしゅう酸 カルシウムという化合物から石ができ、胆嚢結石の場合は、コレステロールが原因でできるそうで す。では、お口の中でできる「歯石」はどうでしょう? 歯石ができはじめるのは、歯垢が最大の原因です。歯石がいきなりできるのではなく、まず歯の表 面に歯垢ができて放置されているとその歯垢の中に唾液からカルシウムとリンが沈着し、どんどん 硬くなっていくことで歯石という塊になってしまいます。 一般的に歯石のできやすい場所は歯垢の取りにくいところ、歯と歯の間、歯と歯ぐきの境目です。 そして歯垢と同じように歯石の中は細菌だらけです。 特に歯周病を引き起こす原因菌のすみかとなっています。ですから歯と歯ぐきの境目に歯石ができ ると、歯茎が腫れ、歯周病になってしまうことがあります。そしてそのままにしておくと、歯を支 えている骨が溶けて歯が抜けてしまうことさえあります。 歯石が厄介なのは、一度できてしまうと歯医者さんに取り除いてもらうしかないという点にありま す。歯と歯ぐきの健康を守るために、できてしまった歯石を取り除いてもらい新たな歯垢と歯石の 形成を防ぐことが大切です。 ちなみに古代人のミイラからも歯石が見つかっており、あのヒボクラテスも「歯石は歯肉の炎症を 引き起こす」と指摘しています。古代の人々も歯石によって引き起こされる歯周病に悩まされてい たことがわかります。歯垢は、エナメル質の表面に唾液中の細菌が付着して始まり、最初に付着し た細菌が増殖して小さな半球状のかたまりをつくります。 この歯垢は、唾液から新たな細菌を取り込み増殖を繰り返しながら、エナメル質の表面を広く厚く 覆うようになります。そして歯面を広く覆った歯垢は、むし歯や歯周病など様々な疾患、さらに口 臭の原因になると言われています。 ですから歯垢の形成を抑え、除去することが、むし歯や歯周病を予防しお口の健康を守る一手段に なります。 歯垢を取り除くには、歯ブラシやフロスなどを使ったケアが必要です。歯ブラシが届かない部分に は、歯垢(むし歯菌や多糖類)を選択的に吸着して除去する成分を配合した歯みがき剤を使用する ことでも、歯垢を減らすことができます。 歯垢が付着して2?14日頃からしだいに硬くなっていくと言われています。 歯石になってしまってからでは、個人で行うブラッシングなどで除去することが出来ず、歯科医院 で機械的に除去してもらわなければなりません。歯石になる前の歯垢の吸着除去がとても大切で す。  

そもそも虫歯ってどういうことなの?

むし歯 むし歯(むし歯、う蝕、齲蝕)とは、むし歯の主な原因菌とされるミュータンス菌が作り出すプラー クから発生する酸により、歯が溶かされ(脱灰)穴の開いた状態をいいます。 通常は脱灰の状態から、唾液の再石灰化(再結晶化)の働きにより元の状態に戻されますが、再石 灰化が脱灰に追いつかなくなった時、歯のエナメル質に穴が開き、むし歯の状態になってしまいま す。 初期むし歯 むし歯とは、歯にぽっかり穴があいてしまい黒くて痛くなるところだと誰もが分かります。 では、最近よく聞く「初期むし歯」とは何でしょうか?これを理解すると、大切な歯をむし歯から 守ってあげることができます。なぜなら初期むし歯とは、穴があいてしまい、歯医者さんの治療が 必要となるむし歯より一歩手前の状態で、まだ自然治癒が可能な段階だからです。 初期むし歯の状態は、歯の表面の少し内側からミネラル成分が溶け出す脱灰によって起きます。 そのままミネラル損失が続くと、やがて歯の表面に穴があいて、実際のむし歯になってしまいま す。 初期むし歯も実際のむし歯も、その発生のメカニズムは同じです。 お口の中には、むし歯の原因となる細菌やその細菌の栄養となる糖分がなければ、むし歯にはなり ません。むし歯の元凶であり、主な原因菌とされているミュータンス菌は歯の表面で増殖し「プ ラーク」と呼ばれる糊状の物質(不溶性グルカン)を作り、歯に強固に付着する歯垢を形成しま す。 そして、この歯垢の中でさらにミュータンス菌が栄養となる糖分を分解し、酸を作り出して歯のハ イドロキシアパタイト結晶を溶かしてしまいます。このようにできる表層下脱灰層は初期むし歯の ことで、肉眼的に区別しにくいものですが、歯の表面の白く濁った白斑のように見えます。 ここで一番重要なのは、初期むし歯は実際のむし歯への進行を防ぐことができる、ということで す。まず歯垢を(特に歯と歯のあいだの隙間から)除去し、脱灰層にミネラルを運ぶ唾液が接しや すい状態にすることが大切です。また間食や糖分の摂取を減らすこと。食後の歯みがきをきちんと することは、初期むし歯を健全な歯へと回復(再石灰化)させることなのです。 もちろん、再石灰化を促進するフッ素や再石灰化作用のある薬用ハイドロキシアパタイトが配合さ れている歯みがき剤はお勧めです。 脱灰 私たちが食事をした後、お口の中では、微細ですが劇的な変化が起きます。 歯垢内の細菌が、食べ物の糖(炭水化物)を摂り込み、酸を作り出します。そしてこの酸が歯のエ ナメル質を溶かしてしまします。 大人の成熟した健康なエナメル質では、pH(ペーハー)5.5?5.7以下になるとエナメル質を構成し ているハイドロキシアパタイトの結晶からカルシウムイオンとリン酸イオンが溶け出して、「脱 灰」という現象が起こります。 脱灰が起こる場所は、エナメル質に付着した歯垢のすぐ下で、表面からではなく、表層の少し内側 からです。そこで生じる「表層下脱灰層」というのは初期むし歯のことです。 歯のレントゲン写真の黒い部分は初期むし歯で、実際のむし歯になる一歩手前の状態です。肉眼で は区別しにくいのですが、健康なエナメル質と比べて初期むし歯のところは白く混濁していて、白 斑のように見えます。これは脱灰によりエナメル質の微小構造が乱れ、光の透過や屈折が悪くな り、本来の透明感と輝きが損なわれてしまったためです。 食後、唾液の働きで、酸性となっていたお口の中は中性側に戻り、また脱灰されていたエナメル質 にはカルシウムイオンとリン酸イオンが補給され、再石灰化が起こります。 ただ間食が多くお口の中の酸性状態が長く続いたり、また歯面に歯垢が付着したままにしておくと 脱灰がさらに進行し、唾液がついて行かず、実際のむし歯になってしまいます。 白斑 白斑はエナメル質表面で見られる白色不透明な斑です。白斑はエナメル質の初期むし歯でみられ、 脱灰によりエナメル質表面や表層下に微小な凹凸が形成され、光の反射に変化が生じた結果です。 脱灰エナメル質の再石灰化が促進すると、失われた脱灰部全体のミネラルが供給され回復し、この 状態になると白斑は、色調もミネラル量も健全歯なみに回復するようになります。