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予防歯科(歯を長持ちさせる)真髄はバイオフィルムの除去です。

〇バイオフィルム感染症  

バイオフィルムができるまで

むし歯と歯周病は、バイオフィルム(むし歯菌や歯周病菌の塊) によって生ずる感染症です。バイオフィルム感染症は、よく知   られるほかの感染症と違って、病気の発症にいくつかの要因が関係したり、あるいは薬がほとんど   効かないという特徴があります。   バイオフィルム感染症の最も確実なコントロール方法は、定期的にバイオフィルムを機械的な方法   で破壊し、除去することです。歯科で、定期管理が特別な意味をもっているのは、このような理由   からなのです。バイオフィルムができやすい尿道カテーテルやコンタクトレンズも何ヶ月もからだ   の中にあるなら必ず定期管理が必要でしょう。   〇リスクを知れば確実にコントロール   細菌感染によって起こる病気は、急性、慢性、バイオフィルム感染症のように分けて考えられま   す。   バイオフィルム感染症や慢性細菌感染症は、細菌だけで発症するわけではなく、ストレスや生活習   慣などのリスク因子が関係します。このため、胃潰瘍の場合のように、細菌以外の要因が強調され   るケースがあるのです。   むし歯と歯周病は、このバイオフィルム感染症の代表格なのです。ここに、むし歯と歯周病の二つ   の病気の大きな特徴があります。それは、さまざまな要因が複雑に重なりあって起こる病気で、薬   が効かず、ハッキリとした自覚症状によって病気に気づいたときには元どおりに治すことができな   い、という特徴です。   〇定期管理に勝る対策はない   ほとんどの人の場合、健康な日常の生活習慣(禁煙、規則的な食事、口の中の清掃)の維持と数ヶ   月に一度の専門的な清掃によって、ほぼ確実に病気をコントロールできます。しかし、この定期管   理という方法は、ほかの病気の管理法や治療法と違うので、この簡単なことが、一般の人たちはも   ちろん専門家にもなかなか理解されません。悪いところもない、病気でもないのに定期的に歯科医   院に通う必要なんてないと思ってしまうのです。しかし、このバイオフィルム感染症は定期管理に   勝る対策はありません。自分で自分のからだのリスクを理解し、定期管理を受ければ、リスクの高   い人でも、合理的に病気をコントロールすることができます。

入れ歯になる人とならない人の分かれ道

〇第一大臼歯のダメージで占う   下アゴの前歯から数えて奥へ六番目の歯。それが人間の口の中で一番大きな歯です。これが小学   生に入る少し前に生え始める第一大臼歯(六歳臼歯)です。この歯は、かみ合わせの要になる一番   大事な歯ですが、一番早くダメになりやすい歯です。その理由は、かみ合わせ面の形が複雑で、生   えてくるのに時間がかかる(平均17ヶ月)ためです。そこで、この第一大臼歯がどれくらいダメ   になっているかで、あなたがいつごろ入れ歯になるかを占うことができます。   子どものことに詰める処置をした第一大臼歯は、治療をくりかえし、結局抜歯となってしまいま   す。もし、今までどおりのセルフケアだと、その流れのままに入れ歯になってしまうでしょう。   〇治療を重ねれば重ねるほど悪くなる   詰めものをした第一大臼歯は、数年から十数年で歯全体に金属をかぶせるクラウンに変わりま   す。治療した歯は、更に悪くなったとき大きな処置になってしまうのです。   クラウンになった第一大臼歯は、管理が悪ければ、ある年月で歯ぐきの問題か、再度むし歯にな   るかで抜歯され、ブリッジ(両隣りの歯を削って支えにして抜けた歯を補う処置)になるでしょ   う。これが60歳代ならいいのですが、40歳でこの状態になってしまうと、一生入れ歯なしとい   うわけにはいきません。なぜならブリッジの土台になった歯は10年から20年で失われることに   なるからです。口の中の悪い衛生状態がつづくと、あっという間に入れ歯になる可能性は大きくな   るのです。   髪が薄くなったりシワが増えるのは病気ではありません。でも、歯がなくなるのは病気が原因な   のです。日常の適切な手入れと、生涯自分の歯でかめることを考えた治療と専門的ケアをすれば、   あなたの寿命より歯の寿命は長くなるなずです。

歯科医院選びのポイント

歯科関係の本をたくさん読んで知識を身につけても、いい歯医者さんに出会えなかっ たら結局なんにもならない…そういうご不満をたくさん聞いてきました。そこで、まず 「知識」の前に、安心して治療を受けることができる歯医者さんの探し方、選び方の鉄 則を説明します。 鉄則?自分の歯医者さんは自分で見つける 歯の病気とその治療では、正しい方法はひとつではありません。「いのちの治療」で は正しいことはひとつですが、「生活の医療」では何が正しいことか、それを決めるの は患者さんです。慢性の病気や障害の改善、あるいは不調や不具合をなくして日常生活 の質を高める医療を、「生活の医療」と呼びます。「生活の医療」で大事なのは一人ひ とりの生活の質なのです。 患者さんの求める健康や生活の快適さ、すなわち生活の質は、一人ひとり違います。 ですから、本や新聞が推奨する歯医者さんが自分にとって最良の歯医者さんであること はむしろまれなのです。がんを治す奇跡のキノコから、咬み合わせの治療をする歯科医 まで。自己宣伝なのか、世の中に知られていないほんとうのことが書いてあるのか、判 断はむずかしいでしょうが、お医者さん自身の自己宣伝の匂いをちょっとでも感じたら 信用してはいけません。 鉄則?どんな医療を受けたいか、ちゃんと考えながら歯医者さんを決める 歯科医療の最も重要かつ最低限の条件は、まず?しっかりと患者さんの状態を診査す ること、?その記録を示して患者さん自身が自分の状態を理解できるように説明するこ と、そして?悪くならないための基本的なリスク管理を確実に行うことの三点です。そ の三点を見極めるためには、次のようなポイントをチェックするようにしましょう。 ◇資格(歯科衛生士)をもったスタッフが二人以上いる。 ◇口の中の写真とX線を撮影して説明してくれる。 ◇検査結果を記録している(患者の古いデータがすぐ出てくる) このほか、細菌や唾液の検査データも、リスク管理をしようと思えば必要なポイント です。 さまざまな処置が上手なことも大事です。しかし、患者さんが自発的に健康になろう としなければ、どんな治療もよい結果に結びつきません。 鉄則?気の合う人に相談して噂を聞く 地域の評判で、かかりつけ歯科医を選べば大きな間違いはないでしょう。その場合に 注意したいのは、その情報提供者があなたの気の合う人かどうかです。ライフスタイル が理解し合えて、生活の好みが似ている人の情報はあてになります。でも、「好きじゃ ないけど情報通の人」の情報は、あなた自身のかかりつけ歯科医を選ぶ場合には、しば しばガセネタです。 人々が噂する「よい歯医者さん」は、「すぐに治療してくれる」という理由だった り、「痛くない」であったり、さまざまですが、治療によっては、「すぐに治療してく れる」ことが悪いことだったり、「痛くない」処置が悪いことだったりするのです。  

むし歯も歯周病もバイオフィルム感染症

〇新陳代謝のないところに細菌が増殖   定期的なクリーニングの目的はバイオフィルムの破壊と除去です。むし歯や歯周病の原因となるバ   イオフィルムについて、もう少しご説明しましょう。   人間の皮膚には、皮膚ブドウ球菌という細菌がたくさん住んでいます。酸を出して(汗が酸っぱい   のはこのため)皮膚を守ってくれています。この細菌が固まりになって悪さをすることはありませ   ん。皮膚は、次々に剥がれ落ちて新しくなりますから、細菌が大きな固まりをつくることはないの   です。   歯の表面では細菌が特殊な成長をします。ここが歯の病気が厄介なところです。歯や歯根の表面は   新しくなって剥がれ落ちること(新陳代謝)がないのです。同じ問題は、病気の治療のために皮膚   を貫通して、からだに差し込まれるプラスチックの管(カテーテル)でも起こります。血管や消化   器、尿道などに差し込まれますが、いったん細菌がつくと、繁殖して固まりになります。治療の道   具のカテーテルが新たな感染源になるのです。このため細菌学者は、殺菌剤でも退治できない細菌   の固まりをバイオフィルムと呼んで注目しています(歯科では歯の表面についたバイオフィルムを   デンタルプラーク=歯垢と呼んできました)。   〇どうして歯周病はクスリで治らない?   台所の三角コーナーや風呂場の排水口の内側に層になってくっついているしつこい汚れ。あれがバ   イオフィルムです。細菌がネバネバの多糖体をつくって、固体の表面にくっついていて大きく成長   しているのですが、表面はフィルムでカバーされ洗剤はもちろん、強い殺菌剤を使っても簡単には   きれいになりません。タワシでこすってはじめて落とすことができます。タワシの当たらない窪み   や隅っこからネバネバの汚れを取り除くのは容易ではありません。   バイオフィルムを除去するには、今のところ力づくの除去方法しかありません。細菌の集団を守る   バリアが強力なので、それを破壊しなければどんな薬も細菌まで到達しないのです。   バイオフィルムは、細菌たちがつくる大きな都市です。細菌たちはからだの外につくったネバネバ   (多糖体)でしっかりと住処をつくり、そこにぎっしり集団生活をしています。そこには下水道も   あれば連絡網もあります。まるでひと固まりで一つの生物のように、お互いに遺伝情報までやりと   りして生活していることがわかってきました。ただの固まりではなく、とても複雑で安定した集団   なのです。このためにバラバラの細菌のようにヤワではありません。   むし歯も歯周病も従来の感染症のイメージではうまくとらえられません。細菌がつくるバイオフィ   ルムがその謎に答えてくれます。バイオフィルムをそのままにしなければ、むし歯や歯周病にかか   ることはないのです。      

むし歯の細菌は、だれから感染するか

〇ミュータンス菌は、親から感染   誕生前の赤ちゃんの口の中には、もちろん細菌はいません。生まれたばかりの赤ちゃんの口の中に   は、すでに細菌がいくらか検出されるようですが、(産道をくぐり抜ける間にもらってしまうらし   い)、むし歯の細菌(ミュータンス菌)はいません。むし歯の細菌が、口の中に見つかるのは、乳   歯が生え始める生後六ヶ月ごろです。   では、このむし歯菌はどこから赤ちゃんの口の中に感染するのでしょうか。普通、最も密接にふれ合   う保育者から感染します。一般的にはお母さんですね。お父さんや保育園の保母さんということも   あります。   ところで、むし歯を引き起こすミュータンス菌は、同じ種類でもわずかな違いで7タイプに分けら   れますが、お母さんと子どもの口の中にいるミュータンス菌をそれぞれ調べてみると、ほとんどの   場合が同じタイプのものでした。ミュータンス菌は、親から子に感染しているのです。   〇むし歯の感染を防ぐ   むし歯菌が親から子に感染するとなると、どうしたらいいのでしょう。むし歯を伝染させないために   スキンシップもスプーンの口移しもやめたというお母さんがいました。しかし、むし歯の伝染は防   いでも、母子の一番大切なつながりを忘れてしまったのでは、かえって大問題です。   この悩みを、次の研究が解決してくれました。   フィンランドの女性研究者サーダリンさんは、面白い研究をしました。歯科検診に参加した妊婦の   口の中の細菌レベルを調べて、ミュータンス菌がいっぱいいる妊婦を選び出し、お産が終わって、   赤ちゃんが三ヶ月?二歳の間、お母さんにキシリトールガムを食べさせたのです。そして、子ども   の口の中のミュータンス菌を調べました。子どもにはキシリトールガムは食べさせていないのです   が、キシリトールガムをかんだグループのお母さんの子どもたちの口の中からは、ミュータンス菌   が少ししか見つからなかったのです。ガムをかませるのをやめてからも調査はつづいていますが、   やっぱりガムをかんだ母親グループの子どもたちは、ミュータンス菌が少ないままなのです。   お母さんの口の中のミュータンス菌を少ないレベルに維持すると、子どもに感染しにくくなるらし   いのです。これは、母子の一番大切なつながりが、子どもをむし歯菌から救うことができることを   示しています。   この研究より前に母親のミュータンス菌を減らす予防処置をしたところ、何もない子どもたちの口   の中の細菌に大きな違いが生じたという実験が報告されています。三歳で実験を終了した後も差は   開いたままでした。   これはミュータンス菌の代わりに、いわゆる善玉菌が勢力を広げたために、ミュータンス菌が感染   しにくくなったものと考えられています。むし歯の数にも当然大きな差が出ました。

定期クリーニングは必要です。

〇歯医者って、通っても歯は悪くなるじゃない? これは、まじめに歯科医院に通いつづけた人たちの本音かもしれません。ちょっと悪くなるたび に受診していたのに歯を失っている・・・しばしばそういう方に出会います。残念ながら事実のよ うです。 ほんとうは、患者さんが生涯にわたって歯で悩むことなく「おいしく食事ができて、苦もなくお しゃべりができて、気兼ねなく笑える」ようにするのが、歯科医療の役割なのですが、残念なこと に歯科医の教育も国の医療制度も、そして多くの歯科医の関心もそういう方向を向いていません。 削って詰めてかぶせて、入れ歯を入れて・・・、その後どうなるかを考えていません。治療の考え 方も材料も技術も医療保障も、本来、患者さんの利益にならなければ価値はないはずです。そして 同じ患者さんの利益でも、そのときばかりの利益ではなく、生涯の利益を考えるのが専門家の責任 です。 じゃあ、どうすればいいのか。そのキーワードが「かかりつけ」です。 〇治療のくりかえし 歯医者さんにまじめに通ったといっても、幼いころ小さなむし歯の穴を詰めるのに始まって、悪 くなっては削って詰めて、さらに悪くなったらかぶせて・・・とその場その場で治療をくりかえし たのでは、歯は悪くなる一方で、よくなる理屈はありません。反対に、痛くて耐えられなくなるな でガマンして、どうしようもなくなって、歯医者さんに駆け込む。これもからだによいわけはあり ません。炎症と痛みは、からだに大きなストレスを及ぼしますし、感染したところからは血液の中 に多量の細菌が流れ込みつづけています。 じゃあ、どうすればいいのか。そのキーワードが「かかりつけ」です。 〇キーポイントは定期的なクリーニング 「かかりつけの歯科医院をもっていますか」とたずねると、80?90%ぐらいの人は、「もっ ている」と答えます。しかし問題は、そのかかりつけの中身です。悪くなるたびに治療するだけで は、かえって悪化を加速させてしまいます。こんな受診では、いくら頻繁に通っていても、かかり つけとはいいません。また、年に一度定期的に通って検査を受ける、悪いところがあったら治療す る。この定期点検型も、ちょっと似ていますが、やはりかかりつけとはいえません。 「かかりつけ歯科医院」のキーポイントは、定期的なクリーニングにあるのです。治療のために受 診するのとは違う、まったく別のかかり方です。 「なんだ、そんなこか、クリーニングならたいしたことじゃない」と考える人もいるでしょう。 〇定期的なクリーニングの目的はバイオフィルムの除去 「歯ブラシの届かないところの掃除だね」歯医者さんでクリーニングを受けたことのある人は、そ んなふうに考えるでしょう。しかし、その<掃除>のポイントはなかなか複雑です。 ちょっと耳慣れない言葉でしょうが、バイオフィルムという細菌のすがたを知れば、どうして定 期的にクリーニングする必要があるのか、どうして薬じゃダメなのか、どうして家庭での管理だけ ではうまくいかないのか、ご理解いただけるでしょう。定期的なクリーニングの目的は、バイオ フィルムを破壊し除去することなのです。 若いころからかかりつけ歯科医院で定期的なクリーニングを受けていれば、年を取って入れ歯に なることはありません。中年になって、ちょっと悪くなってからでも、まだ手遅れではありませ ん。さらに、患者さん一人ひとりの病気のかかりやすさを調べ、それに基づいてリスクをコント ロールすれば、入れ歯になる危険は、ほぼなくなります。 くりかえし言いますが、「定期的に点検をしてくれる」だけではダメです。バイオフィルムの破壊と除去、つまり専門的なクリーニングのない定期的な点検では、意味がありません。  

やはり定期検診(歯石取り)は重要です。

〇ズサンな治療だから長持ちしない、のではない 治療した歯が長持ちしないのは、必ずしもズサンな治療が原因ではありません。精度の高い治療 は、見た目が美しく、清掃しやすく快適です。ただし、歯の長持ちに直結するわけではありませ ん。悪くなってからの治療そのものが、歯を失うリスクと引き替えなのです。歯の長持ちは、処置 の精度よりも処置後の継続的なケアに左右されます。 たとえば現在の一般的なクラウンは金属の精密な鋳物製ですが、その平均耐用年数は7.1年。 これに比べて金属板でできた旧式のクラウン(あまり歯を削らない)は12.7年という信頼でき るデータがあります。また、金属を練ったアマルガムという詰めものは7.4年ですが、それより 手間のかかるインレー(精密な鋳物)は5.4年しかもっていません。 治療がやり直しになる原因の三割以上は、むし歯の再発です。その次に多いのは、歯の中の炎症 や神経を取った後のトラブルで、合わせて二割くらいです。 〇定期管理をすればブレーキをかけることができる このように削って修理した歯は、再治療が避けられないのです。このため年を取るにつれて歯の 治療は大きくなっていきます。インレーがクラウンに、クラウンをかずせた歯が失われブリッジ に、ブリッジの土台になった歯が失われ部分入れ歯に変わっていくのです。これに対してかかりつ け歯科医で定期管理をしていれば、歯の喪失にしっかりとブレーキをかけることができます。30 歳をすぎてからはじめて受診した人でも(当然修復した歯がたくさんあるのですが)、定期管理を つづけている間(平均約7年間)に一本も歯を失わない人は約八割です。もちろん若いころから定 期管理をするに越したことはありません。 歯科医師の教育でも、歯を治療して、最後に歯が抜けて入れ歯になるのが普通の姿だと教えられ ています。従来の歯科医は、悪くなってしまった人の悪い部分ばかりを見ていたために、年を取っ て歯がなくなるのは当たり前だと勘違いしていたのです。

歯を長く持たすには?(歯を抜かない治療)

〇200歳ぐらいまではもつ 健康が維持できれば、歯はどれくらい長持ちするのでしょう。歯を支える歯茎の骨は、健康な人 の場合、20歳から一年に0.06ミリくらいなくなります。歯を支える骨は200歳ぐらいまで もつ計算です。咬み合わせの面は、長い年月ですり減ってしまします。歯ぎしりやかみ癖のある場 合は、50歳になる前にひどくすり減ってしまうこともあります。このような場合には、人工的に 歯の形を整えた方が長持ちします。根っこさえ健康であれば、生涯自分の歯として使えます。 ところが実際には、下アゴの第一大臼歯を例にとると、女性は51歳、男性は57歳が平均寿命 です(厚生労働省の調査)。日本人の女性(平均)は51歳までに、下アゴの奥歯を4本失い、 50歳代の後半から30年近くは入れ歯のご厄介になっているのです。 命の平均寿命は女性が長いのですが、歯の平均寿命は、男性に比べて女性が短いのです。命は長 く、歯の命は短いのですから、女性は長い間入れ歯生活を送っているわけです。 〇悪くしてしまった人はより悪く 人生が50年だった昔は、歯のない人は珍しかったのです。ハッキリと悪くなってから処置を受 ける、さらに悪くなったら歯を抜くというのは、人生50年のときの治療法です。そのような治療 をつづけると、60歳すぎで確実に入れ歯になります。 これは歯の治療そのものが、かえって歯を失うリスク(危険因子)になっているからです。 歯の硬い組織は、一度削ると元には戻らないだけでなく、むし歯にかかりやすくなります。神経 を失うと、元に戻らないだけでなく、根の先に病変ができやすくなります。人工の歯(クラウン) をかぶせれば、どんなに上手にかぶせても、歯周病にかかりやすくなるのです。歯を抜いてブリッ ジにすると、土台の歯には大きな負担がかかります。むし歯にも歯周病にもかかりやすくなりま す。入れ歯を維持する歯には、もっと無理がかかります。 こうして「悪くしてしまった人はより悪く」、雪だるま式に歯がなくなっていくのです。

ホームホワイトニングって何?

ホームホワイトニングの6つの秘訣 真っ白な歯になりたい!ホームホワイトニングをやってみたい!という方は多いので はないでしょうか?ホームホワイトニングとは、マウスピースと薬剤を使用して自宅で 簡単に出来るホワイトニング方法です。もしかしたら踏み出せない理由として『ホーム ホワイトニングで本当に歯は白くなるの?』と疑っているのかもしれません。 しかし、ホワイトニング先進国であるアメリカでは約20年前から行われており、さ らにホームホワイトニング利用経験者の割合が95%とも言われています。それだけ、 ホームホワイトニングの効果は実感されており、白い歯が相手に与える印象は重要だと 考えられているということです。ホームホワイトニングは、方法を間違わなければ、誰 でも簡単に真っ白な歯を手に入れることが出来ます。今日は、ホームホワイトニングで 結果を出す方法や使用方法・予算・注意点など、必要な情報を全てお伝えします。あな たも真っ白な歯を手に入れて、笑顔の多い生活を送ってください。 1.ホームホワイトニングで歯の白さはこんなに変わる! 『ホームホワイトニングは、自分のペースで希望通りの白さまでホワイトニング出来ま す。』 通常1週間のホームホワイトニングで最低1トーン、反応の出やすい方だと2?4トー ン明るくなります。大人の方で歯の色は8?9トーンと言われているので、相当印象が 変わることがお分かりいただけると思います。 2.ホームホワイトニングとは 歯科医院で型取りをしてもらったオーダーメイドのマウスピースに薬剤を入れて、1日 2時間ほど装着するだけの非常に簡単なホワイトニング方法です。 3.ホームホワイトニングの使用方法 何事も正しい方法があります。本来得られる効果を得られないのは、間違ったやり方を している場合がほとんどです。自己流を捨て、最も効果のでる方法を学んでください。 用意するもの ・自分専用のマウスピース ・専用薬剤 ※歯科医院専売の薬剤を使用します。処方をしないと販売できない薬剤です。ドラッグストアなどで市販されているものとは異なりますので注意してください。 オススメの薬剤とその理由 ・Tionホワイトニング 理由:日本製で『歯にしみにくい』という特徴を持っています。また、従来のホワイト ニングの薬剤が透明なのに対してTIONは乳白色なので薬剤がどこまで入っているの かわかりやすです。ホワイトニング剤は海外製が多いので、特性を必ず把握することが トラブルを防ぎます。 必要な時間と期間 初回は1日2時間を2週間続けることで、白さを実感できます。白さを実感した後、し ばらくホワイトニングを行わないと歯の色は戻ってきますので、気になり始めたら再度 行います。初回に比べ、効果を実感しやすくなっているので、一度行うだけでも白さを 実感できる度合いが高まります。最適なタイミングで行うことで、常に真っ白な歯を キープできます。 使用方法 まず最初に歯医者で行う手順 1.お口の中全体をチェックします。 2.お口の中をクリーニングします。(着色や歯石を取ります) 3.レントゲンでむし歯がないか確認します。(むし歯があると痛みが出てしまうため) 4.お口の中の写真を撮ります。(ホワイトニング前の色を確認します) 5.歯型を取りマウストレーを作成します。(3、4日で出来上がります) 6.マウストレーをお口の中にあわせて痛い所がないか確認します。 7.マウストレーとジェルをお渡しし、使い方を説明します。 次に自宅で行う手順 1.きれいに歯磨きをします。 2.マウストレーの歯の唇側(ポッチのある方)にジェルを米粒大の量入れます。 3.マウストレーを歯に装着します。 4.もしジェルがあふれたらティッシュでふき取ります。 5.1日1回2時間を目安に装着してください。 6.トレー装着中の飲食喫煙はできません。 7.トレー装着中は強く噛まないでください。 2時間経ったら 1.マウストレーを外します。 2.お口を良くすすいでください。歯を磨いてください。 3.マウストレーを流水で良く洗ってください。 4.ジェルが残るようであれば歯ブラシでやさしく洗い、水を切ってケースにしまいます。 効果を最大にするコツと注意点 ・ホワイトニングをした直後30分?1時間は飲食をしてはいけません。 ・ホワイトニングの効果を最大にするため、期間中は着色性の強い飲食物は取らないよ うにしましょう。 ・毎日続けた場合、通常は2週間で目に見える効果が表れます。安定した結果を得るためには、さらに1?2週間続けてください。 ・ジェルはきちんとキャップをし、冷暗所で保管してください。(冷蔵庫で保管しても大丈夫ですが、凍らせないようにご注意ください。)ジェルの使用期間は、ご購入か  ら1年です。 ・日頃から歯磨きをしっかり行うことが、白さを保つポイントです。 使用期間中控えたい食べ物や飲み物 飲み物:コーヒー・紅茶・烏龍茶・抹茶・赤ワイン・ベリー系ジュース・コーラ・ココア 食べ物:カレー・ミートソース・キムチ・コチュジャン・豆板醤・チョコ・醤油・ソース・味噌・ケチャップ・からし・わさび・その他色の濃いもの・合成着色料が入ったもの その他:たばこ・うがい薬・口紅・色付き歯磨き粉 繰り返し継続していくことが大切 ホームホワイトニングで歯を真っ白にする一番のポイントは継続することです。ホーム ホワイトニングは専門知識のない方でも安心して使っていただけるように作られていま す。そのため、歯医者で行うオフィスホワイトニングの薬剤に比べ、濃度が10%? 20%しかありません。継続することで、トーンが明るくなり、日に日に白さを増すの です。”継続は力なり”ですね。 4.予算 ホームホワイトニングは、薬剤の本数にもよりますが、3万円前後くらいだと考えてお きましょう。この違いは、使用している薬剤の値段とその歯科医院の方針によっての差 だと言えます。 ホームホワイトニングの特徴としては、オフィスホワイトニングと違い、白くする歯の 本数によって左右されないという点です。ホームホワイトニングは、歯全体を覆うマウ スピースを作るため、白くしたい所に薬剤を注入すればいいのですが、オフィスホワイ トニングは1本の歯に対する価格なので本数が増えればその分費用も増えるという訳で す。また、ホームホワイトニングはホワイトニング後に後戻りしても薬剤のみ購入すれ ばまたホワイトニングできるのでその面から見てもホームホワイトニングのほうが安く なります。 5.ホームホワイトニングに適していない方 ホームホワイトニングは安心して使用できるお手軽な方法ですが、その中でも行っては いけない方も存在します。望む結果を得られるよう、まずは自分が該当していないか必 ずチェックしましょう。 ・妊婦さん:妊娠中は体内のホルモンバランスが崩れているため、体調に影響が全くないとも言えません。薬剤が直接害となることはありませんが、念には念をいれましょう。 ・むし歯がある方:薬剤によってしみたり、悪化させてしまう懸念があります。 ・歯並びが極端に悪い方:マウスピースを装着できない可能性があります。 ・歯周病の方:歯茎が腫れたり下がってしまっている場合、優先すべき順番は歯周病の治療になります。歯周病を放置して抜歯しなければならなくなってしまうと、元も子もありません。 ・幼少期にテトラサイクリン系抗生物質の薬を飲んでいて、歯がグレーになっている方:歯の形成時に色素が沈着してまっているため、効果を実感できません。 6.オフィスホワイトニングとの比較とホームホワイトニングのデメリット オフィスホワイトニングとは、歯医者で行うホワイトニングのことです。自宅で行う ホームホワイトニングと、歯医者で行うオフィスホワイトニングとでは下記の図のよう な違いがあります。 ホームホワイトニング    オフィスホワイトニング 白さの実現        回数次第で真っ白に      回数次第で真っ白に 1回にかかる時間       2時間            1時間 白くするまでの時間    1?2週間で実感       1回の施術で実感 維持できる期間       6ヶ月くらい         2?3ヶ月 どちらの方法でも歯を真っ白にすることはできますが、オフィスホワイトニングは短期 間で白くする事ができます。しかし、効果の持続が短いのが特徴です。対して、ホーム ホワイトニングは白くなるまでに時間がかかるものの、効果の持続性は長いのが特徴で すね。 「来週の結婚式までに白くさせたい!」というような方は、オフィスホワイトニングを 選択し、「少し時間がかかっても良いから家でやりたい」という方はホームホワイトニ ングを選択するなど、ご自身のライフスタイルや口内状態に合わせて選択しましょう。 口内状態に関しては信頼できる歯科医院の先生と相談して、判断してくださいね。 ※ホワイトニングのデメリットとして、どちらの方法を選択したとしても、人によっては、歯がしみてしまう場合があります。しみると感じた場合には放置せず、歯科医師に相談してください。 まとめ いかがでしたでしょうか?ホームホワイトニングのメリットやデメリット、効果を最大 限に高める使い方についてご理解頂けたかと思います。ホワイトニングは、正しい方法 で行えばどなたでも歯を白くする事ができます。ぜひ、今回の記事を参考にして頂い て、効果的にご自宅でホワイトニングを行ってみて下さいね。 ※ホワイトニングの度合いは、個人差があります。今回の記事は一つの参考としてご認識下さい。