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生涯にわたり自分の歯で食べることは可能か?それとも幻か?

生涯にわたり歯を1っ本も失わない「KEEP28」の実現を当院は目指しています。 人間は28本のはをもってます。そして「メディカルトリートメントモデル」の実践で28本の歯を健康な状態に保てます。 80歳で28本の自分の歯を持っている人が増え始めているそうですが、誰もが28本の歯を持ち続けることは可能なのでしょうか? 実際に親知らずを除くすべての歯を一本も失うことなく、若々しい歯並びの方が数多くいらっしゃいます。このように28本の歯を生涯にわたって残すことを私たちは「KEEP28」と名付けて、その実現を目指しています。全国的に見ると80歳で28本の歯を持っている方は少ないのが現状です。 今から約30年前、日本歯科医師会と厚生省(現厚生労働省)が、80歳で20本の歯を残す「8020運動」というキャンペーンを始めました。当時としては、相当高い目標でした。 しかし、北欧の国々のデータが、後期高齢者(75歳以上)が28本の歯を残せることを証明しています。もう20本で妥協する必要はありません。 一方、最近の調査から人生は100年を超えることが予見されています。政府は「人生100年時代構想会議」を開催して、人生100年時代を豊かにする政策が議論されています。 健康寿命を延ばすためには、きちんと噛める歯を生涯にわたって健康な状態に保ち続けることが重要です。これは歯科医療の究極の目標と言えるでしょう。口の中の健康と全身の健康は互いに影響し合うことが明らかになってきたことからも、私たち歯科医の責任は重大です。 では、28本の歯を守るためには、どのようなことが必要なのでしょうか? 約40年前のスウェーデンの研究で、年に1度の検診と必要に応じた歯科治療を行うグループと、歯磨き指導やバイオフィルム(プラーク)除去を含む口腔内メインテナンスを行うグループを6年間追跡して、比較した研究があります。メインテナンスを行ったグループでは6年後に虫歯はほとんどできず、歯周ポケットは比較試験開始時より大幅に改善していたのに対して、検診と治療だけを行ったグループでは、虫歯がいくつもできて、歯周ポケットが進行していました。検診だけでは虫歯や歯周病を効果的に防げないことが示されたわけです。 口腔内のメインテナンスは、虫歯や歯周病の原因をなくすなど、歯を失うリスクを低減するものです。私たちや一緒にスタディーグループで学んだ歯科医師や歯科衛生士は北欧の国々で培われたこうした予防歯科の方法を実践しています。 その方法は、虫歯や歯周病の「原因を除去する」という、医学的には当たり前の考えに方に基づくため「メディカルトリートメント」と呼ばれています。 「メディカルトリートメントモデル」では、治療のために来院された患者さんの主訴(訴え)を聞いて歯の状態を確認したら、まず必要な検査を行って、歯を失う2大要因である虫歯や歯周病へのかかりやすさのリスクを判定します。 リスクの大小は、間食は多いか、糖類の摂取は多いかなどの生活習慣、バイオフィルムの付着や特定の虫歯原因菌の増加といった口の中の汚染状態、フッ化物の使用や唾液の量などからみた防御力の状態などから判断されます。患者さんごとにそれぞれのリスクは異なるので、リスク低減のための指導内容も当然異なります。 この指導に沿って、患者さんが自主的に生活習慣の改善や歯磨きなどのケアを行うことで、口腔環境が改善し、虫歯や歯周病にかかるリスクが減った時点で、初めて必要な治療を行います。緊急に対応せざるを得ない治療は、口腔環境の改善を待たずに行いますが、原因究明と原因の除去が行われていないと治療を終えた直後から再発が始まると考えられるので、基本的には口腔環境の改善を先行させます。 治療後も、定期的に、継続的に通院してもらい、治療結果やホームケアをモニターするとともに、日常の歯磨きなどで取り切れないバイオフィルムの除去などのメインテナンスを行います。ここまでのセットが「メディカルトリートメントモデル」で、歯を守るために必要な診療です。 すぐに治療を始めないと、もどかしさを感じる患者さんもいらっしゃるのではないでしょうか? 患者さんの中には、「治療してもらいに来たのだから治療を」とおっしゃる方もいらっしゃいます。ですが、検査結果を示しながら、口腔環境改善の重要性を説明すると納得していただけます。 また、通院されるごとに検査して口腔環境が改善していることをお知らせすると、リスクが低減していく効果を実感して、歯磨きなどのホームケアにより積極的に取り組めるようになります。 その結果、お子さんなどご家庭を連れて来院されるようになったり、お知り合いに紹介されたりと、予防歯科の輪が拡がってきました。 「メディカルトリートメントモデル」の開始は、早ければ早いほど有効だと考えられます。しかし、現在80歳の患者さんで、中高年になってから始めた「メディカルトリートメントモデル」の効果で虫歯や歯周病の再発や進行を抑えられ、治療済みの歯も含めて28本の歯を持ち続けている方もいらっしゃいます。 “症状が出てから受診する”従来型の歯科医療から“症状が出ないように受診する”予防型の歯科医療への転換を目指して、さまざまな方々、組織と連携しながら「KEEP28」を広めていきます。メディカルトリートメントモデルについては、当院のホームページに詳しく記載されてますので、そちらを 参考にしてください。

歯周病を理解しないと豊かな生活が送れません。

歯石除去にはどんな効果があるのか、また歯石を取らないとどうなるのか分からないという方も多

いのではないでしょうか。

歯医者で虫歯治療を受けた後などに「歯石も取っておきますね」とすすめられ、なんとなく歯石を

取った経験のある方が大半かもしれません。

歯石は表面が凸凹しているので細菌が住みつきやすく、むし歯、口臭、歯周病などのリスクを高め

ます。

そして、歯石は毎日ちゃんと歯磨きしているという人でも完全に防ぐことは不可能です。

1.歯石とは 歯石とは、口の中の汚れ(プラーク)の中の細菌が唾液中に含まれるカルシウムやリンなどのミネ

ラル成分と結合し、時間が経って石のように硬くなってしまったものを言います。

個人差はありますがブラッシングで取りきれなかった汚れ(プラーク)は、付着して2日から2週

間程で歯石になってしまいます。

2.歯石除去して得られる5つの効果 1.歯周病を防ぐ

歯周病は細菌感染症です。歯石自体は直接の感染症の原因ではありません。

歯石は歯の石と書くように歯に固くこびり付き、その表面がザラザラしているため周りに汚れが溜

まりやすくなります。

汚れ(プラーク)には細菌が多く含まれ、繁殖して毒素を出します。その毒素により歯茎の炎症が

悪化していくと言われています。

歯石を定期的に取って、汚れが溜まりにくいお口の環境を作ることで歯周病の予防ができるので

す。

2.口臭を防ぐ

歯石自体が臭いを発するものではありませんが、歯石に住みつく汚れ(プラーク)が口臭の原因に

なります。

歯石はザラザラしているため、表面にプラークが付着しやすくなります。口臭が気になる方で、歯

石を何年もとってもらっていない人はお口の中を確認してみてください。白い大きな塊がついてい

たら、それは歯石です。

3.歯が白くなる

歯石はうすい黄色の色をしています。歯の表面に歯石がついていると、全体的に歯がくすんで見え

ます。

歯石を除去して、歯の表面を磨くことで本来の白い歯を取り戻し、歯石がついている状態からワン

トーン白い歯に見えるようになります。

4.歯茎が引き締まる

歯茎からの出血はないけれど歯茎が腫れぼったい、ブヨブヨしているといった症状のある人は、歯

石を取ることで歯茎がキュッと引き締まり、腫れぼったさがなくなります。

歯石がついていると汚れが溜まり、歯茎の炎症がおこりやすい環境といえます。

もちろん歯石をとった後には、正しいブラッシングも必要です。歯石を取ることと、ブラッシング

を行うことを両立することで健康的な歯茎になるのです。

5.歯茎からの出血が止まる

歯磨きをすると出血する人は、歯の周りについた歯石が原因かもしれません。

歯石を取ることで、汚れがつきにくくなり歯茎の炎症も落ち着いてきます。

同時に正しいブラッシング方法で歯茎もマッサージしていくと、1週間くらいで出血しなくなるこ

ともあります。

3.歯医者で行う歯石除去

 固まってしまった歯石は歯磨きだけでは、除去できません。

最近では、ドラッグストアなどでセルフ歯石除去キットのような道具も販売されていますが、自分

で取る行為は歯や歯肉を傷付けてしまうので注意が必要です。

歯科医院に通院して専門的な機械(スケーラー)での除去が安全です。

歯石除去

歯科医院では専用の機械を使って歯石を除去していきます。超音波の振動で歯石を取り除く方法

や、歯茎の奥についている歯石を取り除くハンドスケーラーなどさまざまな機材を使って除去して

いきます。

4.歯石をそのままにしておくとどうなるか 1.歯肉炎になる

歯石は歯肉にとって良くないものです。歯石が付着することにより、周りに汚れがつきやすくなる

ため、歯茎の炎症もでてきます。

歯茎の炎症が悪化すると、歯茎から出血してきます。歯磨きの時に血がでてくるような症状があれ

ば歯肉炎です。

2.歯周病を悪化させる

プラークの中でも空気を嫌う細菌(嫌気性菌)は、歯周ポケット(歯茎の中)に入り込み巣を作り

ます。

そのままプラーク中の細菌が活発に活動を続けると、歯を支えている骨までを溶かしていきます。

これが歯周病の進行です。

症状が悪化すれば歯がグラグラしてきたり、歯茎が痩せてくることもあります。さらに症状を放置

していると歯を抜かなければいけなくなることもあります。

5.自宅で出来る歯石予防におすすめのケア用品 歯石のつきやすい場所は、隣接面(歯と歯の間)や、歯頸部(歯と歯茎の溝の部分)です。正しい

ブラッシング方法や自分にあった補助的清掃用具(歯間ブラシやフロス)の使用で毎日プラークを

除去することにより歯石付着を予防することが出来ます。

1.歯ブラシ

歯石が付きやすい部位にしっかり当たる自分に合った歯ブラシの使用をお勧めします。

2.デンタルフロス

歯ブラシが当たりにくく歯石が溜まりやすい隣接面(歯と歯の間)にはフロスの使用をお勧めしま

す。

3.歯間ブラシ

こちらも歯と歯の間のプラークを除去するものです。

とにかく歯周病を食い止めるには、家でのホームケアとクリニックでの 定期クリーニングが必ず必要であり、歯科医院と患者様が2人3脚にならなければ なりません。ぜひ定期的に検査とクリーニングを行い受診して下さい。  

知らないと損するキシリトールの本当の力

キシリトールの特徴 歯の健康によい甘味料として、キシリトールは国民に広く浸透しています。キシリトールには、う 蝕予防に適した次のような①~⑤の生化学的特徴があります。 ①野菜や果物など、自然界に分布する天然の5炭糖の糖アルコールであり、相対甘味度1、すなわち 砂糖と同等の甘味を持っています。 ②口腔細菌によって代謝されず、有機酸が産生されることはまったくありません。 一方で糖アルコールは、腸内細菌も代謝できず、腸管の吸収も悪いために、概ね体重1㎏あたり1g 程度の摂取でお腹がゆるくなる場合があります。 溶解するとき吸熱反応を起こすので、清涼感を伴います。キシリトールは、砂糖に匹敵する甘味 で、唾液の分泌を刺激し、それによって口腔内のカルシウムや重炭酸塩が増大する結果、歯の脱灰 防止と再石灰化促進作用が生じて、むし歯の発生を防止すると考えられています。 ③キシリトールは、インシュリン非依存的に代謝されるので、血糖値に影響しません。糖尿病患者 も安心して摂取できます。しかしカロリーはスクロース75%(3kcal/g)と、ダイエット甘味料とは とてもいえません。 ④キシリトールは、ミュータンス連鎖球菌の糖質代謝を阻害する、いわゆる無益回路を回します。 ミュータンス菌は、キシリトールを取り込むとリン酸化して、キシリトール5リン酸(x-5’P)にしま す。しかしミュータンス菌は、それ以降の代謝系を持たないので、菌体内に(X-5’P)が蓄積して糖代 謝系酸素を阻害するのです。 ⑤FAO/WHO(共同食品規格委員会)より、『1日の許容摂取量(ADI)を特定しない』という最も高い安 全性を与えられています。 味覚習慣からみたキシリトール このようにキシリトールは、う蝕予防にとって好都合な素晴らしい甘味料といえます。しかし味覚 形成においては、その推奨法、予防に使用する場面を注意深く検討する余地がありそうです。砂糖 と同等の相対甘味度1の味覚をあえて乳歯列完成前の幼児に積極的に摂取させるのは、いかがなもの でしょう。歯を傷めてしまう人とまったく同じ味覚習慣をつけてしまう恐れがあります。 たとえば、乳幼児のう蝕予防では、ミュータンス連鎖球菌が感染する19ヶ月から31ヶ月の間のいわ ゆる“感染の窓”の時期に、乳幼児本人ではなく、母親など菌を伝播しやすい人を対象にキシリトー ルを用いるとよいかもしれません。う蝕予防のためには、スクロースは食事時に摂取し、食間にキ シリトールなど機能性食品を摂取するといった、メリハリのついた食習慣が重要です。 キシリトールの本質は酸を作らないこと、唾液の分泌を促すことで脱灰予防にはたらくことです。

お口のケア長生きの秘密

〇なぜ定期検診で長生きできるのか? 虫歯による歯の痛みは本当に辛いものです。治療時の麻酔をする時の痛み、ドリルでキーンと歯を 削る時の不快感、歯を抜くときの恐怖感、2度と味わいたくないものですよね。考えただけでもゾッ としませんか?できれば体験したくありませんよね。 歯や口の中を良好に保つことは、生活習慣病や認知症を防ぎ、介護を必要としない幸せな人生を送 るための大きなポイントとなります。 虫歯や歯周病などの疾患は、早期発見、早期治療が大切と思っている人も多いようですが、実はベ ストではありません。もっと大切なのはそのような状態をつくらないこと。 予防こそが歯を守る最高の対策なのです。特に寝る前の歯のケアは欠かさないようにしましょう。 口の中の悪玉菌は、唾液の分泌量が減少する就寝中に盛んに活動します。悪玉菌が蓄積された歯垢 や、悪玉菌の毒素を製造させる食べカスは就寝前にしっかり取り除いておきましょう。 又糸ようじ(歯と歯の歯垢を取る糸状の清掃用具)を使うこともお勧めです。歯ブラシだけでは落 としにくい歯間の汚れを落とすことができ、歯垢の蓄積を防ぐのにとても有効です。 この就寝前のブラッシング、毎日のデンタルフロスを使ったケアと死亡率との関係を調べた興味深 いデータをご紹介しましょう。 5611人の高齢者を平均9年間にわたって調査した結果ですが、これによれば、就寝前に歯磨きをす る人に比べ、全くしない人は20~30%死亡リスクが上昇したといいます。また、糸ようじを毎日 使う人と比べて、全く使わない人は30%も死亡率が高くなったそうです。さらに2~3ヶ月に1度 歯科でクリーニングを受けている人と比較して、全く受診しない人は30%~50%も死亡のリスクが 高くなったということです。 長生きしたければ、 ①就寝前は必ず歯磨き ②毎日糸ようじの使用 ③定期的(2~3ヶ月)の検診とクリーニング を実行しましょう。 (※参考分献「全ての病気は口の中から」米国抗加齢医学会認定医歯科医、森永宏喜著) 定期的にプロのチェックとアドバイスを受け、丈夫な歯をキープして健康寿命を延ばすか、 あるいは生活習慣病や認知症で不健康な晩年を迎えるかは、あなたの心がけにかかっています。

定期管理で歯周病はコントロールできる

〇バイオフィルムを定期的に壊し取り除く   プラークコントロールは家庭で自分自身でするものと、その人のリスクに応じて定期的に歯科医院   http://www.cyber-digital.jp/dental-flash/ でするもの、その二つがかみ合ってはじめて効果的なものになります。プラークコントロールの目   的は、バイオフィルムを壊し取り除くことです。   患者さん自身が家庭でするブラッシングの大切さは強調してしすぎることはないのですが、歯ブラ   シだけで歯周病が治ると考えるのは誤解です。プラークコントロールは、歯科医院で定期的に専門   家の清掃を受けなければ確実ではありません。決まって同じところをみがき残しているということ   はよくあることですし、歯ぐきに隠れたバイオフィルムや歯ブラシの届かない場所から歯周病が進   むからです。ある程度深い歯周ポケットになると、患者さんのブラッシングだけでは歯を支える組   織の破壊が生じるといわれています。   定期管理を重視する歯科医院では、気持ちよくなることやきれいにすることにも関心を払っていま   すが、定期管理の主たる目的はバイオフィルムの確実な破壊と除去にあります。   〇定期的な通院でするのは「歯石の除去」?   定期管理って歯石を除去してもらうことでしょ?まあそうです。小さな耳かきのような刃先の器具   で歯根についた歯石を除去してもらいます。ただ、歯石そのものは歯周病の原因ではありません。   歯石の多くは、細菌が石灰化したものですが、ミネラルの固まりそのものは害のあるものではな   く、問題はそのざらざらの表面です。そこに細菌が定着してつくったバイオフィルムが歯周病の原   因になるのです。   若くして発症した破壊の早い歯周病の中には、歯石や目立ったプラークなしに破壊が進むものもあ   ります。このような歯周病でも原因はやはりバイオフィルムです。歯肉に隠れた部分のバイオフィ   ルムを除去し、破壊することで歯周病の進行は止まります。   〇高度な熟練が必要な目に見えない歯石の除去   目に見えるところでは、歯石はエナメル質にくっついています。エナメル質はツルツルですから、   器具を使うと歯石は簡単にパチッと剥がれます。歯石除去のことをスケーリングといいますが、ス   ケールとは魚のうろこ。うろこを剥がす要領で歯石を取ります。しかし、歯肉に隠れたバイオフィ   ルムの温床になるのは、歯根のセメント質についた歯石です。セメント質は骨とよく似た組織で   す。ガラスに付いた汚れをきれいにするのと、材木についた汚れをきれいにする作業の違いを想像   してください。   歯周病の定期的なコントロールでは、長い時間をかけて歯根を探り、ザラザラの歯石を見つけて、   そこにこびりついたバイオフィルムごと除去する作業をくりかえします。この作業は、指先の感覚   で歯石の一番深いところを探り当てて、刃先に力を集中するとても根気のいる作業です。歯ぐきを   傷めず、根面を削らないようにすると不快感は小さいのですが、そのためには熟練を要します。バ   イオフィルムさえ破壊できれば、少々の細菌が残っていることは問題ではありません。研究によれ   ば、歯根を研磨するだけでもバイオフィルムの出した毒素と歯石は、ほとんど除去されることがわ   かっています。超音波振動を使って根面をきれいにするだけでも効果があります。初期から中程度   の歯周病の治療後の管理であれば、このような簡単な処置で効果が上がります。  

定期管理(検診)って何をするの?(予防とクリーニング)

〇定期的なバイオフィルムの破壊と除去 http://www.cyber-digital.jp/dental-flash/ メインテナンスの通院で何をするかは、患者さんの状況によって異なりますが、どの患者さんの場 合にも、歯の専門的なお掃除は欠かせません。バイオフィルムは強力に歯にくっついていますし、   歯にはたくさんの小さな窪みがあります。ここに歯ブラシの毛先は届きません。歯と歯の間はフロ   スを上手に使わなければきれいにできません。徹底したお掃除の後にはフッ素入りペーストで入念   に研磨してくれるでしょう。 歯と歯肉の境目にも歯ブラシの毛先が届きにくいところがあります。長期間そのままにすると、そ   こに構造の安定したバイオフィルムができて、歯肉に炎症を引き起こします。歯ぐきに隠れた部分 http://www.cyber-digital.jp/dental-flash/   では毒性の強いバイオフィルムになります。定期管理では、このようにしてできた細菌の固まりや   歯石を破壊し除去します。   〇歯の専門的なお掃除   歯の専門的なお掃除は、まず、器械を使って歯をつやつやにみがきます。回転がゆっくりの器具を   使うのでちょっと振動を感じますが、不快だったら「もっと弱く」と注文をつけてもいいでしょ   う。歯ぐきや舌の表面をお掃除してくれるところもあります。   残念ながら、この種の定期管理は保険ではできませんが、三ヶ月に一度か六ヶ月に一度、髪をカッ   トに行くように、歯科医院に歯の掃除のために行く人が少しずつ増えています。   定期管理をしてくれる歯科医院には、最後に歯をみがいてくれるところがあります。みがき方のコ   ツ、歯ブラシの感触、きれいになった後の壮快感、そういうものは教えられて理解するものでな   く、体感して感激して、納得するものです。このような壮感体験は、セルフケアをつづけるうえで   も有益です。もちろんこの専門的なお掃除は、むし歯や歯周病のリスクコントロールのひとつで   す。食生活のチェック、お口の清掃状態の評価、フッ素塗布、歯と歯ぐきのすき間の評価など要点   をおさえてその人その人のリスクを管理するのが定期管理です。   〇深い歯周病ポケットのある人のメインテナンス管理   歯周病になると歯と歯肉のすき間に深い溝ができます。これを歯周ポケットと呼んいますが、歯周   病の治療をして炎症がなくなっても、深い溝は残ります。この溝をすっかりなくすには、歯肉を切   り取らなければなりません。そこでしばしば、深い歯肉の溝を残したまま管理することになりま   す。このような管理の仕方(ポケット・メインテナンス)では、定期的な管理がとても大切です。それほど重症ではない場合、あるいは外科的に歯周ポケットをなくすにはむしろ重症すぎる場合、そして外見上歯肉が下がると困るような部分では、ポケット・メインテナンスが普通の処置方法です。深い歯肉の溝があっても、プラーク(歯垢)コントロールができていれば再発は防げます。ただ、うっかり注意を怠ってしまうとすぐに再発します。 深い歯周ポケットのメインテナンスには、とくに熟練が必要です。歯科衛生士は耳かきのような刃物を使って、歯ぐきの下の隠れたポケットの中を手探りできれいにします。歯根の表面は、口の中の見えている部分と違って、表面がザラザラですからその表面に歯石が入り込み、そこにバイオフィルムが定着しています。それを取り除くのがポケット・メインテナンスの最も重要な作業です。 歯ぐきの下の歯石を取るときだけは、あまり気持ちがいいというわけにはいきません。深いところでは麻酔をすることもあります。定期管理をしっかりしていれば、通常、深いところに歯石がついてしまうことはありません。歯ぐきに隠れた場所のバイオフィルムも器具ですくうだけできれいになるので、痛みや不快感はほとんどないのです。

どこで定期検診を受けたら良いの?

〇痛いのはイヤ。待たされるのもイヤ   悪くなってから痛い思いをして、お金と時間をかけて治療するより、悪くならないように定期的に   歯科医院に通って、それで歯の健康が保てるならその方がいい。だれだってそう思います。でも、   そう思って受診したら、小さなむし歯を削れらた。よく聞く話です。   数ヶ月に一度だとしても、何も悪いところがないときに、歯医者さんに行けるでしょうか?歯を削   られたり、注射されたりするのなら、行きたくないです。痛いのはイヤ。待たされるのもイヤで   す。ほんとうに定期管理ができる歯科医院は、こういう患者さんの気持ちがちゃんとわかっている   ところです。   そういう歯科医院は、まだ極めて少数です。しかし、確実に増えています。   〇なぜ定期管理のできる歯科医院は少ないのか?   多くの歯科医は、定期管理を求める患者さんは少ない、だからしていないだけで、「定期管理を求   められればする」と言います。   これまでの医療は、治療を求められて、それに応える受け身の仕事でした。とくに保険診療では、   患者さんを診察して、それにかかる医療費の心配はいらないので、これほど楽な関係はありません   でした。医者も歯医者も、「受け身」がからだに染み着いていますから、自分から患者さんに定期   管理を勧めることができないのです。頼まれてする仕事を引き受けるのと、頼まれもしないことを   勧めるのでは、責任もむずかしさも評価も、天と地ほども違いますからね。   もうひとつの大きな問題は保険制度です。リスクのある人の歯科の定期管理は、最も合理的な治療   法だといえますが、発症前治療には十分な理解が得られていません。バイオフィルム感染症はほか   に例がないので、定期管理は「予防」とひとくくりにされてしまいます。その検査や処置の多くに   は保険が使えません。保険が使えないと、患者さんの負担が多くなります。患者さんの理解が得ら   れない現状では、歯科医にとっては「悪くなるまで待って」治す方が無難なのです。   〇定期管理のできる歯科医院の探し方   もし、歯科医が定期管理をする気になっても、それを担当してくれる人がいなければできません。   定期管理の担当はおもに歯科衛生士です。熟練した技術がなければ短時間で確実な歯のお掃除はで   きません。とくに歯周病のある人の場合は、歯ぐきに隠れた部分の清掃(歯石の除去など)が必要   ですが、この作業にはかなり熟練が必要です。知識と技術をもった歯科衛生士でないと、定期管理   は不快で成果の上がらないものになります。能力の高い歯科衛生士がいなければ定期管理はできな   いわけです。   こういう事情から、効果的で患者さんの利益になるとわかっているのに、リスクコントロールを勧   めることができない歯科医院は少なくないのです。逆に言えば、しっかりした歯科衛生士が複数い   る歯科医院は可能性アリです。実はこれが一番確実な、かかりつけ歯科医院探しのポイントでもあ   るのです。定期管理をしてくれる歯科医院を探すことは、現状では簡単ではないでしょう。   でも患者さんが求めるならそれに応えたいと考えている歯科医院はたくさんあります。患者さんの   方から声をかけて定期的な管理を求めてみてください。   〇何も悪いところがないときに歯医者さんに通う   では、必要性は理解しました。熟練した歯科衛生士がいる歯科医院も見つかりました。お金の問題   もないとします。それでも実際に定期管理に通うとなると億劫ですね。   ところがものは考えようです。品のいい60歳半ばの女性がいました。六ヶ月に一度でいいという   のに毎月毎月定期的に通って来られます。痴呆になった90歳すぎの姑さんと二人暮らし、別に近   くに住むご自分のお父さんの面倒も見ているといいます。そのお世話は一通りではありません。   けっして暇ではないのです。   リスクの高い人ではないので、「六ヶ月に一度にしましょう、ご無理をなさらずに」と申し上げま   した。すると、そのご婦人は、「ここに来るぐらいしか、自分を大事にする時間がないんですよ」   と言われます。この女性は、つかの間の安息を求め、自分を大事にするために歯の定期管理を受け   ていらっしゃったのです。