歯周病について

ギネスブックに載る世界一の感染症「歯周病」

バクテリア

「繰り返しの治療をなくす」、さらには「一生、歯の治療をしなくてもいい社会をつくる。」 これこそが私は目指す究極のゴールです。その夢を実現させるために、これまで試行錯誤しながらさまざまな取り組にチャレンジしてきました。そして、最終的にたどり着いたひとつの大きなテーマ、歯科医師としてのライフワーク、それが「口腔内の菌をコントロールすること」です。
口の中の二大疾患といえば「虫歯」と「歯周病」ですが、どちらも「菌」(バクテリア)が主な原因です。したがって、この菌をうまくコントロールできさえすれば、繰り返しの発症も治療も防ぐことができるはずです。とくに歯周病は、いわゆる歯周病菌を退治し、コントロールしないかぎり完治は望めません。私はいつからか、この歯周病と闘うことが歯科医師としての使命であると考えるようになっっていったのです。

みなさんは歯周病と聞いてどのようなイメージをお持ちでしょうか。「歯磨きのときに痛みを感じたり、出血したりする歯ぐきの病気」程度と思われている方がほとんどではないでしょうか。もう少し知識をお持ちの方は「歯ぐきに膿が生じて、歯を失ってしまう危険性がある怖い病気」と認識されている方もいらっしゃるかもしれません。
確かに症状としてはそのとおりですが、実は歯周病はみなさんが考えている以上にとても恐ろしい病気なのです。
何が恐ろしいかと言うと、まずはその感染力です。歯周病は、HIVやエボラ出血熱などと同じ感染症の一種で「人類史上最も感染者数の多い感染症」としてギネスブック(ギネス・ワールド・レコーズ)にも掲載されているほどです。 さらに恐ろしいことに、歯周病は歯ぐきにだけ、または口腔内だけの病気ではなく全身の健康に影響をおよぼしてさまざまな病気を引き落とし、最悪の場合は死をもたらすこともある、とても恐ろしい病気なのです。

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糖尿病の発生率を上昇させることは、有名な話ですが、きちんと定期的に歯石取りを行っている方と、行っていない型を比較すると、2.8倍も動脈硬化の発生率に影響を与えてしまいます。心筋梗塞や脳梗塞を発生してからでは、あまりにも代償が大きすぎますよね。
こんなにも恐ろしく深刻な病気にもかかわらず、驚くことに歯周病は現在の歯科医療技術では、なかなか治せない病気とされてきました。ギネスブックに載るほど感染者数が多い歯周病は、実際、日本人の中高年の役8割が感染していると言われています。つまり、今この文章を読んでいるあなたも歯周病に感染している可能性が高いといえるのです。長生きしたければ誰もが歯周病とむきあわなければいけない問題という事です。

1980年代に入り、「歯周病は口の中の”歯周病菌”が原因である」ということ、そして「全身的疾患や環境因子(喫煙、不規則な食生活、過度なストレス、偏った食生活、歯磨きを怠ること、夜間の歯ぎしり、日中の食いしばりなど)が大きく関与している」ということが次第に分かってきました。「歯垢や歯石がたくさん付着している」「口の中がネバネバする」「口臭がある」「歯と歯の間に物が挟まる」「歯ぐきが大きく腫れている」「歯がグラグラする」「歯を磨くと血が出る」「歯がしみる」「硬いものが噛めない」こうした症状はすべて歯周病のサインです。

歯周病菌は歯の周りの組織だけではなく、心臓病や動脈硬化、肺炎といった全身疾患の発症、低体重児出産の原因、糖尿病の悪化など、さまざまな疾病を誘発するということが、最近の研究によって明らかになってきました。歯周病菌が歯と歯ぐきの間、いわゆる「歯周ポケット」に侵入すると、歯周病菌が血管の中に入り込んで全身をめぐり、さまざまな全身疾患を引き起こす可能性が高まるのです。

例えば、血液中に侵入した細菌が付着して菌が増殖し、ついには心臓の中の弁破壊に進展し細菌性心内膜炎となってしまいます。
さらに、歯周病菌が心臓の周りにある血管の壁にとりついて動脈が硬くなる、あるいは狭くなることによって「動脈硬化」が発生します。すると血液の流れが少なくなり、最悪の場合は、血管が詰まり、破壊してしまう狭心症や心筋梗塞といった致命的な病気を引き起こすリスクが高まるのです。また、「糖尿病」と歯周病菌も密接にかんけいしているということが分かってきました。

「歯周病治療を行うと血糖値が改善する」「血糖値が上がると歯周病が悪化する」という相関関係にあるのです。 これには歯ぐきの炎症で生じる「サイトカイン」という物質が関与しているとかんがえられています。
さらには、歯周病はお母さんのお腹に中にいる赤ちゃんにまで、大きく影響するということが分かってきました。「サイトカイン」が子宮収縮を促すことによって「早産」や「胎児の成長不足」を招いてしまうことで、「低体重児出産」の原因となる可能性があるのです。

死をもたらす「沈黙の病」

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日本の死因の第4位は「肺炎」です。そしてその多くが「誤嚥(ごえん)性肺炎」なのですが、この誤嚥(ごえん)性肺炎は、実は胃液や唾液とともに歯周病菌が気管や肺に流れ込んでしまうことが主な原因なのです。 このように歯周病菌は、全身をむしばみ、死に直結するさまざまな怖い病気の原因でもあるのです。これ以上解説しようとすればさらに複雑で専門的な分野にまで広がってしまいますが、現代病において大きな問題にもなっている「ガン」「脳梗塞」「認知症」といった病気においても、歯周病菌が大きく関与しているということが、さまざまな研究によって明らかになってきているのです。
つまり、口の中だけの些細な病気と思われがりな「歯周病」は、悪魔のように人の命にしのび寄る恐ろしい病気なのです。たかだか口の中で生じたちょっとした不調が、健康面において取り返しのつかない自体を誘発してしまう病気であるということを、まずがしっかり認識してほしいと思います。

年をとってから、心臓疾患や動脈硬化などで亡くなった方の中には、その病気の原因が実は歯周病菌だった、という可能性は大いに考えられるのです。
その一方で一生のうち、亡くなるまでの間にまったく歯周病に感染しないという人もいます。歯磨きをしないのに虫歯にも歯周病にもならない、という人は確かに存在します。北欧諸国の場合はというと、虫歯にも歯周病にもならないという人の割合はかなり高く、6?7割という高い割合で存在します。日本ではそのような人はごくわずかで、約8割の人が歯周病に感染している言われています。
歯周病菌は、最初は深刻な症状を引き起こさなくても、年齢とともに次第に頭角を現し、40歳、50歳、60歳と年齢をかさねるにつれて、口臭、歯磨き時の出血、体が疲れたときに少し歯が浮く、など何かしらの症状が出始めてきます。

まったく痛くもかゆくもない状態であったとしても、歯周病菌は知らず知らずのうちに人の体をむしばんでいきます。「痛い」「血が出る」となったときは、もうかなり進行してしまっているのです。
「沈黙の病」と呼ばれるのはそのためです。また歯周病菌は歯の骨を溶かしてしまいます。歯周病菌がいると、人間の体はその毒素から自分をまもらなければいけないという防衛反応が働きます。そこで白血球が増えて、その反応として「白骨細胞」という骨を溶かしてしまう細胞が骨を溶かし始めていくためです。骨を溶かすというと一見とても痛そうですが、実は痛みはなかなか発生しません。

統計によると日本人の場合、60歳から平均1本ずつ歯がなくなってしまい、80歳に向けて一気に歯が減っていってしまいます。歯周病菌の影響で自覚症状も痛みもなく歯が失われていってしまうことが多いので、この原因菌の活動をどこかのタイミングで断ち切っておかないと、確実に歯が失われていってしまいます。

とにかく歯周病は本当に怖い病気です。歯周病がそこまで怖い病気であるということが、メディアを中心に叫ばれはじめて、日本人も「そんなに怖い病気なのだ」と認識するようになったのは、ここ10年くらいではないでしょうか。歯槽膿漏といわれていた時代は、この病気がそこまで恐ろしいという認識がなされていませんでしたが、「歯周病」といわれるようになって、ようやく深刻な病気であることが認識されるつつあります。

歯周病のリスク検査

歯周病のリスク検査

歯周病は「沈黙の疾患」といわれ、自覚症状が出にくいのが特徴です。 歯周組織検査・X線写真で歯と周辺組織の状況をチェックし、歯周病のリスクを確認します。

歯周組織検査・X線写真で歯周病のリスクを知る

歯周病は、歯周病の原因菌により歯を支える骨を破壊する病気です。
破壊された骨は完全に元に戻すことができないため、歯周病のリスクを知り、骨が破壊される前にリスクコントロールしなければなりません。
また歯周病の細菌は空気のないところでしか育たない嫌気性菌であるため、虫歯菌のような培養試験ができません。
そこで、歯周病のリスクを知るために歯と歯肉の健康状態を調べる歯周組織検査、歯と歯肉の内部の骨の状態を調べるX線写真検査で歯周病のリスクを調べることが大切です。

歯周病の検査

・歯周組織検査
プロービング
プロービングという先端に目盛りがついている器具を使用して、歯と歯茎の間の溝の深さを測ります。
1歯に対して6ヶ所チェックします。
歯と歯肉の間には溝(歯肉溝)があり、健康な歯では溝の深さが2?3mm程度です。
歯周病を発症して歯茎が腫れたり、歯を支える骨が溶けたりすると、歯の溝は深くなり、4mm以上になると「歯周ポケット」と呼ばれるようになります。
また、深さを測るのと同時に、プロービング時の出血の有無もチェックします。
歯茎の腫れなど表面上は問題なく見えても出血が見られる場合は、歯周ポケット内部で炎症が起きていることがあります。
歯の動揺度
歯のぐらつきの度合いを測る検査です。
歯周病が進行すると、歯を支える周りの骨(歯槽骨といいます)や歯根と歯槽骨をつなぐ歯根膜が溶かされます。
歯周組織の溶解が進むと、支えを失った歯はグラグラと動揺し始め、やがて抜け落ちてしまいます。
動揺度検査では、歯の動揺の程度や方向によって0度から3度に分類します。(度数が高いほど歯周病が進行しています)
<動揺度>
0度・・・正常(動揺が0.2mm以内)
1度・・・軽度(前後の一方向に0.2?1mm動揺)
2度・・・中度(前後・左右の2方向に1?2mm動揺)
3度・・・重度(前後・左右・上下の3方向に2mm以上動揺)
・X線写真(レントゲン)
X線写真(レントゲン)で、歯の中や根、歯を支える周りの骨などの状態をチェックします。
当院ではできるだけ正確な診断をおこなうために、医科と同じ構造で大学や総合病院にも導入されている高性能イメージングプレートスキャナの普及版を導入しています。
一般的な歯科用デジタルX線写真では、骨や歯などの硬組織は白く映り過ぎ、歯茎などの軟組織は黒く映り過ぎるコントラストの強い画像となり、精密な診断をおこなうのに適していませんでした。
より正確な画像を得られる高性能スキャナの導入が可能となり、当院でも2011年からレントゲンのデジタル化に踏み切りました。

スケーリング・ルートプレーニング

スケーリング・ルートプレーニング

歯周病治療の基本は、バイオフィルムと歯石の除去です。
ご家庭でのブラッシングでは取り除けないバイオフィルム・歯石を歯科医院で徹底除去します

歯周病の原因、歯石を徹底破壊!
歯周病の原因は、虫歯と同じく歯の表面に付着したバイオフィルムの中で繁殖する細菌です。 バイオフィルムは唾液中のミネラルと結びついて(石灰化)、石のように固い歯石になります。 歯石そのものは虫歯や歯周病の原因にはなりませんが、表面がデコボコしているため細菌が付着しやすく、歯ブラシの先が届かないデコボコの中で繁殖した細菌が歯周病という感染症を引き起こします。 そのため、バイオフィルムだけではなく歯石の中の細菌も除去しなければ、歯周病の進行を止めることができないのです。
スケーリング・ルートプレーニングで歯石を徹底除去
歯周病の原因となるバイオフィルムが増殖している場所は、歯と歯肉の間の歯周ポケットの中です。 目で確認することができず、歯ブラシの先も届かない歯周ポケットの中で、バイオフィルムが歯石となって歯の根に付着しています。 歯石となったバイオフィルムは強固に歯に付着しているため、普通のブラシでは落とすことができません。 スケーラーという専用の器具を使用してひとつずつ取り除くスケーリングと、歯の表面を滑らかにしてバイオフィルムが付きにくくするルートプレーニングをおこなって徹底的に原因を除去していきます。
スケーリング(歯石除去)
スケーラーを使用して、歯や歯の根の表面に付着したバイオフィルムや歯石を取り除くことです。 スケーラーには大きく分けて手で使用する手用スケーラー、超音波の振動で歯石を取り除く超音波スケーラーがあります。
手用スケーラー(ハンドスケーラー)
手用スケーラーは、歯周ポケットの深い部位まで到達し、固く付着した歯石を取ることができます。 直視できない歯周ポケット内の歯石を感覚的に取らなければならないため、知識と経験による手技が必要となります。 また、手用スケーラーの刃先はすぐに角が丸くなってしまい歯石が取れなくなってしまうため、こまめに研磨し、効率よく歯石が取れるように準備をしなければなりません。 当院では、手用の研磨機を用意し常に刃先が研磨されている状態を維持しています。
超音波スケーラー
様々な形態のチップにより歯と歯肉の間に増殖しているバイオフィルムを破壊することが可能となります。
ルートプレーニング
バイオフィルムや歯石が付着していた歯根は、表面のセメント質や象牙質が溶かされてデコボコになっています。 デコボコになった歯の表面をそのままにしておくと、せっかくスケーリングでバイオフィルムや歯石を除去しても、すぐにバイオフィルムが付着して歯周病が再発してしまいます。 再度バイオフィルムが付きにくいツルツルの歯にするために、スケーラーを使って歯根表面を滑沢にするのがルートプレーニングです。

歯周病治療

歯周病は決して高齢な方にのみ起きる現象ではありません。35歳で80%以上の方が歯周病になっていると言われていますが、実は10代のころから少しずつ進行しているのです。

歯周病とは、歯の歯肉に近い部分についた歯垢(プラーク)や歯石の中にいる細菌によって引き起こされる病気です。歯と歯肉の境目についた歯垢や歯石から、歯の根にそって歯周病菌が入り込み、歯を支えているまわりの組織をじわじわと壊していき、最悪の場合、歯が抜けてしまいます。

歯周病の進み方

歯肉炎
磨き残しのバイ菌が歯のつけ根に停滞し、やがて硬くなると歯石となり、歯ブラシでは取り除けなくなります。
軽度歯周病
長期間にわたり歯石を付着させたままいると、歯石から分泌される毒素によって、歯を支えている骨が上部から溶けて行きます。
中度歯周病
このような状況では、さほど自覚症状はみられませんが、歯周病の進行度としてはかなり進んでしまっています。
重度歯周病
ここまでくると「噛むと痛い」「腫れた」「歯がグラグラする」という症状が表れますが、すでに末期症状であるといえます。
末期
そして、ついには抜け落ちてしまいます。

したがって骨が溶ける現象をどこかで食い止める必要があるのです。
一度溶けた骨は二度と復活することはなく、薬でも治りません。

危険信号は?
毎日の歯磨きで出血する
歯肉が赤く腫れている
歯肉が何となくゆるんでいる感じがする
口臭が続いていて気になる
何となくどこか、痛い・かゆい・不快だと感じる
歯がぐらつく
歯が伸びてきた
歯の位置が移動してきた


こんな症状のあるかたは要注意です。
歯周病は最初、痛みを伴わずに進行していきます。ほとんどの人は、歯肉から血が出る、腫れた、といった自覚症状を感じてからはじめて来院されますが、このような症状があるときは、かなり進行した状態です。

歯周病は歯磨きでは防げません
毎日の歯磨きをしていれば歯垢の除去はある程度可能ですが、歯石の除去はできません。
歯石は歯の周りに軽石のような性状で強固に歯に付着します。

歯石とは、唾液中のカルシウムなどが沈着することにより自然にできます。そして一度付いた歯石は医院で除去しないと取れません。定期検診の最大の目的は、この付着した歯石の除去です。同時に初期虫歯の有無もチェックします。
当歯科医院では歯周病治療を行うと共に、歯周病予防、ブラッシング指導などのお手伝いもさせていただいております。
現在、虫歯がない方も歯石除去のために定期検診に来ていただければ、気付かないうちに歯周病が進行して歯ぐきから血が出てくる・・と言った事態を避けることができます。
※歯周病が原因で糖尿病や心臓疾患などの全身疾患を引き起こすことがあるのは確証されています。

カウンセリング及び定期検診をお受けください!
徹底した歯石取りを実行し、継続した定期検診を行うことは、歯周病の予防だけでなく健康の増進にも繋がるといえるでしょう。
したがって、早めの歯周病治療及び、定期検診のお申し込みをお待ちしております。
ぜひ、お気軽にお問い合わせください。