
歯医者は保険の銀歯を自分の口にも入れるのか (その2)
■一般の方が知らない保険診療のリスクとは?
かぶせ物・詰め物には様々な種類があります。治療部位や現在のお口の状態によって、適した治療方法も変わります。そして、どの治療を選ぶかの選択が、将来のお口全体の健康や、全身の健康に影響を及ぼします。
しかし当然ですが、歯科知識がない一般の方は、どの治療法を選んだら良いのか『基準』が分かりません。
そこで、当院ではお口の状態を踏まえてアドバイスを行った上で、患者様には、次の4つのポイントで考えていただくことをお勧めしています。
①健康面
②耐久性
③見た目
④精神的ストレス
以上の4つの基準メリット・デメリットを簡単に解説したいと思います。
①『健康面』についてのポイント
「国の保険が適用されるくらいだから、身体に害はないでしょ?」
「別に、見た目が銀色になるだけでしょ?」
そう思っている方が非常に多いのですが、実は保険診療が適用される『銀歯』というのは、健康面に対して数多くのマイナス面があるようです。
●虫歯の再発リスクが高まる理由とは?
まず一つ目に、虫歯の再発リスクです。
実は、自費診療のかぶせ物に比べて、保険の銀歯を使った場合には、同じ部位や隣接する歯が再び虫歯になる可能性が格段に高まります。
保険の銀歯を入れると5年以内に73%の確率で虫歯が再発するという研究(北海道大学・森田教授)まで発表されているほどです。
なぜ、せっかく治した虫歯が再発してしまうのでしょうか。
それは、銀歯の場合には素材により、どうしても精度に限界があるため、歯とかぶせ物の間に段差ができたり、わずかな隙間が空いてしまったりするようです。
また、かぶせ物や詰め物は、セメントをいう接着剤のようなもので接合させます。
しかし、そもそも金属との相性があまり良くなく、セメント自体が溶けてしまったりすることで、隙間が空いてしまうのです。
そして、その隙間に汚れや菌が入り込み、見えないところで虫歯が進行してしまうのです。
かぶせ物や詰め物を外すと、その下で虫歯が進行していたというケースが、非常に多いのです。
歯医者の業界で働いている人間からすると当たり前になってしまいますが、毎日のように、銀歯の下が虫歯になってしまっている患者様が来院されます。
つまり、ある一定期間が経過すると、銀歯ややりかえが必要になるケースが大変多く目立ちます。
しかも、かぶせ物がかぶっていると目視で確認できないので、痛みが出るまで虫歯になっていることになかなか
気がつきません。
そのため、痛くなってから歯科医院に来院することになります。
痛みが出ていると言うことは、かなり進行してしまっているので、神経を抜かなくてはいけなかったり、抜歯しなくてはいけない状態になることが多いのです。
この自費診療と保険診療の違いは、オーダーメイドの服と既製品の違いと考えていただけると分かりやすいかもしれません。
オーダーメイドの服は、あなたの腕の長さ、胸囲、腰回りなどを測って、あなたにぴったりのサイズで作ります。そのため、心地よいフィット感が生まれます。
しかし、既製品の服ですと、袖の長さは合うけれどウエストはきつい…..といったように、自分の体型になかなかフィットしません。
同じように、あなたの歯にフィットするかしないかの違いがあるのです。
また、服は使う生地(素材)あが良いと心地も良く、長持ちします。しかし、良い生地だとそれだけ値段も高くなります。かぶせ物の自費とほけんも、素材の違いが室と価格の違いを生んでいるのです。
特に自費診療の中でも、セラミックやゴールド(金属)は、銀歯よりも歯と身体に優しい、かつ自分にフィットしやすい良い素材です。当然、保険診療よりも価格が高くなりますが、その分、見た目だけでなく、特に健康面でのメリットが大きくなります。
(歯医者は保険の銀歯を自分の口にも入れるのか その3へ続く)
横浜歯科クリニック 石川洋史
