
奥歯を失って、「いつかなんとかしなくちゃ」と思いながら、いつの間にか慣れてしまい、治
療を先延ばししておられる患者さんをときどきお見受けします。でも、じつはこの「慣れ」こ
そ怖いのです。
奥歯を失うと、咀嚼機能が低下します。咀嚼機能が低下すると、軟らかくて食べやすいもの、
簡単に満足感を得られるものについ手が伸びやすくなります。
たとえば、うどんやラーメンなどの麺類は、よく噛まなくても食べやすい食べ物です。すすっ
て流し込めるので、「噛めない」というストレスをほとんど感じずにすみます。カレーライス
も同様。手軽に満足感が得られます。その結果、「しっかり食事はとれている」という自己評
価になりがちです。
こうした噛めなくても食べられる食事は、じつはカロリーオーバーを引き起こしやすい一方、
筋肉量の維持に必要な動物性タンパク質や、老化を防ぎ体調を整える抗酸化物質、ビタミン、
ミネラル、食物繊維などが乏しく、深刻な栄養不足をまねきやすいのです。
肥満につながりやすいうえ、低タンパク質で筋肉が減ってしまうのでは、むしろ健康増進には
逆効果。しかし現実に噛めないものが多くては、栄養改善のしようがありません。
奥歯を失ってから、食の好みが変わってきてはいませんか?血糖値や内臓脂肪、体脂肪率が上
がってはいませんか?病気の発症リスクを減らすために、歯科治療で噛めるお口を取り戻しま
しょう!