歯を長く持たすには?(歯を抜かない治療)
〇200歳ぐらいまではもつ
健康が維持できれば、歯はどれくらい長持ちするのでしょう。歯を支える歯茎の骨は、健康な人
の場合、20歳から一年に0.06ミリくらいなくなります。歯を支える骨は200歳ぐらいまで
もつ計算です。咬み合わせの面は、長い年月ですり減ってしまします。歯ぎしりやかみ癖のある場
合は、50歳になる前にひどくすり減ってしまうこともあります。このような場合には、人工的に
歯の形を整えた方が長持ちします。根っこさえ健康であれば、生涯自分の歯として使えます。
ところが実際には、下アゴの第一大臼歯を例にとると、女性は51歳、男性は57歳が平均寿命
です(厚生労働省の調査)。日本人の女性(平均)は51歳までに、下アゴの奥歯を4本失い、
50歳代の後半から30年近くは入れ歯のご厄介になっているのです。
命の平均寿命は女性が長いのですが、歯の平均寿命は、男性に比べて女性が短いのです。命は長
く、歯の命は短いのですから、女性は長い間入れ歯生活を送っているわけです。
〇悪くしてしまった人はより悪く
人生が50年だった昔は、歯のない人は珍しかったのです。ハッキリと悪くなってから処置を受
ける、さらに悪くなったら歯を抜くというのは、人生50年のときの治療法です。そのような治療
をつづけると、60歳すぎで確実に入れ歯になります。
これは歯の治療そのものが、かえって歯を失うリスク(危険因子)になっているからです。
歯の硬い組織は、一度削ると元には戻らないだけでなく、むし歯にかかりやすくなります。神経
を失うと、元に戻らないだけでなく、根の先に病変ができやすくなります。人工の歯(クラウン)
をかぶせれば、どんなに上手にかぶせても、歯周病にかかりやすくなるのです。歯を抜いてブリッ
ジにすると、土台の歯には大きな負担がかかります。むし歯にも歯周病にもかかりやすくなりま
す。入れ歯を維持する歯には、もっと無理がかかります。
こうして「悪くしてしまった人はより悪く」、雪だるま式に歯がなくなっていくのです。