定期クリーニングは必要です。

〇歯医者って、通っても歯は悪くなるじゃない? これは、まじめに歯科医院に通いつづけた人たちの本音かもしれません。ちょっと悪くなるたび に受診していたのに歯を失っている・・・しばしばそういう方に出会います。残念ながら事実のよ うです。 ほんとうは、患者さんが生涯にわたって歯で悩むことなく「おいしく食事ができて、苦もなくお しゃべりができて、気兼ねなく笑える」ようにするのが、歯科医療の役割なのですが、残念なこと に歯科医の教育も国の医療制度も、そして多くの歯科医の関心もそういう方向を向いていません。 削って詰めてかぶせて、入れ歯を入れて・・・、その後どうなるかを考えていません。治療の考え 方も材料も技術も医療保障も、本来、患者さんの利益にならなければ価値はないはずです。そして 同じ患者さんの利益でも、そのときばかりの利益ではなく、生涯の利益を考えるのが専門家の責任 です。 じゃあ、どうすればいいのか。そのキーワードが「かかりつけ」です。 〇治療のくりかえし 歯医者さんにまじめに通ったといっても、幼いころ小さなむし歯の穴を詰めるのに始まって、悪 くなっては削って詰めて、さらに悪くなったらかぶせて・・・とその場その場で治療をくりかえし たのでは、歯は悪くなる一方で、よくなる理屈はありません。反対に、痛くて耐えられなくなるな でガマンして、どうしようもなくなって、歯医者さんに駆け込む。これもからだによいわけはあり ません。炎症と痛みは、からだに大きなストレスを及ぼしますし、感染したところからは血液の中 に多量の細菌が流れ込みつづけています。 じゃあ、どうすればいいのか。そのキーワードが「かかりつけ」です。 〇キーポイントは定期的なクリーニング 「かかりつけの歯科医院をもっていますか」とたずねると、80?90%ぐらいの人は、「もっ ている」と答えます。しかし問題は、そのかかりつけの中身です。悪くなるたびに治療するだけで は、かえって悪化を加速させてしまいます。こんな受診では、いくら頻繁に通っていても、かかり つけとはいいません。また、年に一度定期的に通って検査を受ける、悪いところがあったら治療す る。この定期点検型も、ちょっと似ていますが、やはりかかりつけとはいえません。 「かかりつけ歯科医院」のキーポイントは、定期的なクリーニングにあるのです。治療のために受 診するのとは違う、まったく別のかかり方です。 「なんだ、そんなこか、クリーニングならたいしたことじゃない」と考える人もいるでしょう。 〇定期的なクリーニングの目的はバイオフィルムの除去 「歯ブラシの届かないところの掃除だね」歯医者さんでクリーニングを受けたことのある人は、そ んなふうに考えるでしょう。しかし、その<掃除>のポイントはなかなか複雑です。 ちょっと耳慣れない言葉でしょうが、バイオフィルムという細菌のすがたを知れば、どうして定 期的にクリーニングする必要があるのか、どうして薬じゃダメなのか、どうして家庭での管理だけ ではうまくいかないのか、ご理解いただけるでしょう。定期的なクリーニングの目的は、バイオ フィルムを破壊し除去することなのです。 若いころからかかりつけ歯科医院で定期的なクリーニングを受けていれば、年を取って入れ歯に なることはありません。中年になって、ちょっと悪くなってからでも、まだ手遅れではありませ ん。さらに、患者さん一人ひとりの病気のかかりやすさを調べ、それに基づいてリスクをコント ロールすれば、入れ歯になる危険は、ほぼなくなります。 くりかえし言いますが、「定期的に点検をしてくれる」だけではダメです。バイオフィルムの破壊と除去、つまり専門的なクリーニングのない定期的な点検では、意味がありません。